窪田正孝が語る、妻・水川あさみ監督への感謝 映画の世界への思いと「1番は誰とやるか」
窪田正孝が、妻・水川あさみの監督デビュー作となった『MIRRORLIAR FILMS Season4』の一編『おとこのことを』に出演。同作は、人生につまずき、気力を失い引きこもり生活をしていた男(窪田正孝)が、ふと見た昔の写真から、自分にも幸せな時代があったことを思い出し、彼の日常にも変化をもたらしていく15分間のショートフィルムだ。
『MIRRORLIAR FILMS』は、山田孝之、阿部進之介、伊藤主税(and pictures)らが発足した、クリエイターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクト。同企画のもとに、ドラマ『僕たちがやりました』(カンテレ・フジテレビ系)での共演以来となった窪田と水川が、今度は演者と監督というそれぞれの役割をもって一つの作品を作り上げた。2人はどんな思いで映画を撮っていったのか、そして新しいことへの興味について話を聞いた。
水川監督と大事にした共通認識は「伝えすぎない」ということ
――水川あさみさんの監督デビュー作に窪田さんの出演が発表されたときは大きな反響がありましたが、どういう経緯で出演が決まったのでしょうか?
窪田正孝(以下、窪田):プロデューサーの山田孝之くんから、水川にオファーが来たところから始まりました。僕もそうなんですが、コロナ禍で本当にたくさんの人の思考が変わった気がしていて。今までの当たり前のものが当たり前ではなくなって、どんどん多様的な時代になっているから、お互いに役者と監督という立場が変わったところで、作品で関わることができるのはすごく楽しみだなと純粋に思えたので、オファーを受けました。
――本作では、窪田さん演じる男の見た目のやつれた感じなど、すごく表現が多彩だと思ったのですが、今回の役作りはどのようにされましたか?
窪田:役作り自体は、正直そこまで意識をしていないです。1人で生活をしていた頃の気持ちとか、普段の思考を思い出したりした程度で。過去に、仕事に追われて日常であまり笑えなくなったり、頑張って人に合わせて気疲れをしたり。休日は完全にスイッチオフみたいな生活をしていたり……そういうちょっと黒歴史の頃を思い出したり(笑)したことはありました。
――作品に臨むにあたって、水川監督との共通認識や、共有したことはありましたか?
窪田:1番は伝えすぎないこと。空間を芝居で埋めようとしないこと。足すのではなく引くこと。引き算の芝居をしよう、そこを目指せたらいいなというのはお互い共通認識でした。
――見せ過ぎないところは、拝見していて感じました。観ていて、どういう気持ちなんだろうと結構考えさせられて……。
窪田:相手の気持ちを知ろう、観察しようと思ったら、そこに意識が集中します。映画館の真っ暗な中で、スクリーンで音だけを頼りに観ると、人は情報を探そうと脳が動き始める。個人的には、その意識を自分自身に向けてほしいなと思って。この作品がそのきっかけになればと思いました。人が考えていることなんて2秒に1回変わるし、それぐらい脳は思考をやめないで動き続けているから。それをふと緩めてあげられたり、人や自分に優しくなれたり、そんな作品にできたらと考えていました。