『モアナと伝説の海2』名曲の数々はどう生まれたのか? 2人の若き才能にインタビュー
観客動員186万人、興行収入25億3388万円(12月24日時点)を突破する大ヒットを記録し、第82回ゴールデングローブ賞ではアニメーション映画賞にもノミネートされた『モアナと伝説の海2』。そんな本作を彩る楽曲の数々を手がけたのは、第64回グラミー賞最優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞で同部門最年少受賞を果たしたアビゲイル・バーロウとエミリー・ベアーだ。若き2人の才能はどのようにして数々の名曲を生み出したのか。米カリフォルニア州・バーバンクのウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで話を聞いた。
一生のうちにやりたいことのひとつだったディズニー映画の音楽
ーーお2人はどのような経緯で『モアナと伝説の海2』に参加することになったんですか?
アビゲイル・バーロウ(以下、バーロウ):まず最初に、ディズニーの音楽チームとミーティングする機会があって、「2人に特別なプログラムがあるので、連絡を取り続けましょう」と言われました。その1年後くらいに、『モアナと伝説の海』の続編の音楽をお願いしたいというメールをもらったんです。私自身、モアナというキャラクターがとても好きだったので、メールをもらったときは本当に嬉しかったです。
エミリー・ベアー(以下、ベアー):いまでも夢みたいです。アーティストにとって、ディズニー映画の音楽を作るのは一生のうちにやりたいことのひとつですから。それに、監督たちと話をして、今回の『モアナと伝説の海2』のストーリーにとても共感でき、モアナとも繋がることができたので、さらに嬉しかったです。自分がディズニー映画の音楽を手がけたことが本当にまだ信じられないのですが、公開を迎えて映画館で観たときに、ようやく実感できるような気がします。
ーー前作の音楽にはリン・マニュエル・ミランダが参加していましたが、その後を引き継ぐプレッシャーはありましたか?
ベアー:それはもちろんありました。前作の音楽は本当に美しかったので。その後を引き継ぐのはものすごく責任感のあることでした。ただ、チャレンジの難易度が上がるほど、クリエイティブなものが生まれるものです。道のりは大変でしたが、そのおかげでいい仕事ができたと思っています。
ーー楽曲をどのように作っていったのか、その制作過程についても教えてください。
バーロウ:分担して作業をするというよりは、自然な流れでした。2人で一緒にパズルをやるような感覚に近いかもしれません。例えば、エミリーがメロディーのアイデアを出してきたら、それに対して私が「こんな歌詞はどう?」と提案していくようなイメージです。卓球をやるような感じですね。
(ピアノと歌でオープニング楽曲「帰ってきた、本当のわたしに」のワンフレーズを披露)
ーーありがとうございます! 素晴らしいですね。一度聞いたら耳から離れないようなキャッチーな楽曲だと思うのですが、オープニングを飾る大事な曲ということで、完成までにそれなりに時間はかかりましたか?
ベアー:実は「帰ってきた、本当のわたしに」と「ビヨンド ~越えてゆこう~」の2曲に関しては、完成するまでにそこまで時間がかかっていないんです。特に「ビヨンド ~越えてゆこう~」に関しては、本当に自然な流れで作ることができました。もちろんメロディーがキャッチーであることは大事なのですが、それよりも意味のある楽曲にしたいという思いのほうが大きかったんですよね。そこが私たちのこだわったポイントでした。