『赤いナースコール』チャイコフスキー犯の正体とミスリード アリサのもう一つの顔とは?

『赤いナースコール』アリサにもう一つの顔?

 『赤いナースコール』(テレビ東京系)第11話が9月19日に放送された。

 313号室の後藤田(森田甘路)が電動ノコギリで体をまっぷつにされて殺された。度重なる殺人事件によって経営難に陥った榎木田記念病院は閉鎖が決定。翔太朗(佐藤勝利)は後藤田が自身と榎木田病院長(鹿賀丈史)の関係を疑っていたと聞き、榎木田との会話に不自然な点があったことに気付く。

 翔太朗の脚本家デビュー作となった『セクシー刑事』は、実際の事件から題材をとっていた。2年前に起きた事件で、コンビニの店内で喫煙していた男を注意した大学生がコンビニの駐車場で暴行を受け、逆上した男が電動ノコギリで大学生を殺した。313号室の患者たちは全員事件と関わりがあった。滝中(橋本淳)、下塚(大水洋介)、松井(木村了)、後藤田は事件を目撃しており、フリー記者の津田(山本浩司)は事件を誇張した記事を書いて週刊誌に売った。翔太朗が脚本を書いたドラマのプロデューサーが山之内(小堀裕之)だった。

 犯人は被害者の遺族で復讐のために313号室の患者たちを狙ったのではないか。診療科や入院期間のバラバラな患者を同じ病室に集めることができるのは、病院長などごく限られた人間で、殺された大学生と榎木田記念病院の関係が気になる。榎木田は関東ローカルの深夜ドラマである『セクシー刑事』を観て、脚本を書いたのが翔太朗だと知っていた。不審な点はいくつもあるが、榎木田がいう息子の誠一がその大学生なら疑問は氷解する。榎木田が復讐のために313号室に関係者を入院させたのだ。

 313号室以外の死亡者、購買部の江口(名取えりか)、広報の遠山(岩本淳)、看護師の野田(上地春奈)、刑事の加藤(堀口紗奈)を殺したいわゆるチャイコフスキー犯の正体は石原(板尾創路)だった。加藤が残した口紅の痕跡から石原のDNAが検出され、逮捕に結びついた。一連の殺害の手口は猟奇的かつバラエティーに富んでおり、電動ノコギリで身体を切り裂く手法とは明らかに異なっている。石原は殺人を楽しむ嗜好を持っており、コレクションした戦利品を旧館に保管しつつ、犯行の証拠をきれいに消し去っていた。もっとも怪しそうな人物が犯人だったわけだが、これまでの各話で石原は事件の周辺にいる人物として描かれていた。こいつは違うだろうとミスリードし、最後にヴェールを剥ぎ取る。一話ごとに伏線を仕掛ける連続ドラマで、犯人の隠し方として効果的だった。

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