金子大地、小栗旬との共演で得た物作りの喜び 『鎌倉殿の13人』源頼家を演じ終えて

金子大地、小栗旬との共演で得たもの

 鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(大泉洋)が亡くなって以降、物語の雰囲気も大きく変化しているNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。ほぼ毎週のように前半戦の物語を支えてきた主要人物の死が描かれる中、ついにその1人となってしまいそうなのが、鎌倉幕府第2代将軍・源頼家だ。あまりにも巨大だった頼朝の影、離れていく御家人たちの心、誰とも分かち合えない孤独を持つ頼家を見事に表現していたのが、金子大地だ。果たして彼はどんな思いで頼家を演じていたのか。(編集部)

「小栗さんの存在がなければ頼家は演じることができなかった」

ーー金子さんにとって『鎌倉殿の13人』における頼家はどんな人物だと思いましたか?

金子大地(以下、金子):あまりにも早い段階で鎌倉殿になり、「あいつでいいのか?」という周りからの視線は頼家自身が一番感じていたことだと思います。頼家は最初から誰にも頼る気がなかったですし、欲まみれの大人たちに囲まれているのが本当に嫌で仕方がなかった。何をやっても源頼朝という圧倒的なスターと比べられる、その重みは感じていたと思うので、父と同じことをするのではなく、どこか開き直った部分もあったんじゃないかと思います。まだ心も未熟ですし、信用されても、頼られてもいない。自分のやりたいこともすぐ否定されていたら、それは反発したくなる。それから頼家には何事も言い切ってしまう、開き直ったところがあると感じています。逃げ出さない頼家は肝が据わっているというか。生まれた時から鎌倉殿になることが決まっていた頼家でも、18歳で征夷大将軍になるということは相当の重圧や不安があったと思いますし、複雑な気持ちを抱えていたのだと思います。そこの葛藤が垣間見えたらいいなと思いながら演じていました。頼家にはいろんなことが追いついてないところもありますが、一生懸命に頑張る姿だったり、彼の不安や孤独のようなものを三谷(幸喜)さんが描いてくださったのは嬉しかったです。

ーー父・頼朝を演じる大泉洋さんは先にクランクアップされていますが、その後、大泉さんと何かやり取りはありましたか?

金子:第28回の放送後にお会いする機会がありました。その時に大泉さんが「幽霊として出ていろんなことを助言したい」とおっしゃっていました(笑)。頼家自身、なかなか人に相談はできなかったので、撮影に関してもなるべく自分一人で考えるようにしました。

ーー頼家を演じる上で、金子さんの中で頼朝に似せた部分はあったりしましたか?

金子:気づいた方は少ないかもしれないのですが、蹴鞠が上手な時房(瀬戸康史)を褒めるシーンは自分の中で頼朝のようなユーモアさを入れてみました。頼朝の人に好かれる要素はそこにあったんじゃないかなと考えて演じました。

ーー義時を演じる主演の小栗旬さんは、金子さんにとってどのような存在でしたか?

金子:小栗さんの存在は僕の中で大きかったです。リハーサルをやっていても、どこか自信をなくしていた僕を小栗さんが一対一でご飯に連れて行ってくださって。自信がなさそうにしていたのを小栗さんが見ていたのか、「大地、本当に好きなようにやっていいんだよ。撮って満足できなかった時は、俺に言ってくれれば『もう一回、今のカットやりませんか』って言うから」と言ってくださったんです。僕なんかのために忙しい中、時間を割いて話を聞いてくださるところに優しさと愛を感じましたし、もっと自信を持ってやろうと思えました。そこからは吹っ切ることができたというか、義時との2人の芝居でもぶつかっていこうと思うようになりました。小栗さんの優しさに救われましたし、小栗さんの存在がなければ頼家は演じることができなかったと思います。

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