日韓の夏クールドラマに“記憶力最強人間”が集結!? 羽男VS小勝負VSウ・ヨンウ

羽男VS小勝負VSウ・ヨンウ

 どんな時代も法廷ものや警察ものにはどうしても釘付けになってしまう。検事を描いた『HERO』(フジテレビ系)、ミステリードラマ『ATARU』(TBS系)など、人気の作品は多い。

 考えてみると、特に主人公の能力が何かに特化している、言ってしまえば非現実的なドラマに釘付けになっていた。そして偶然にも、今期夏クールのキャラクターたちも、超不思議な並はずれた能力を持ち合わせる人たちばかり。彼らの能力はどの程度並はずれているのか、実際のエピソードも交えて考えてみたい。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』ウ・ヨンウ

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ENA公式サイトより)

 SNSで「ウ to the ヨン to the ウ!」というフレーズが真似られて、大バズりしている『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。主人公のウ・ヨンウ(パク・ウンビン)は自閉スペクトラム症で、ある日、傷害罪を目にしたことで刑法を読み上げるように話し始めた。法学部だった父親が持っていた刑法書を全て暗記していたのだ。それがきっかけで、ソウル大学法学部に入り首席で卒業、弁護士となった。

 事件を見たり、捜査するだけでどんな法律に違反しているのか、すぐに理解することができる。そのうえ、事件の穴を見つけ、閃いたらクジラが飛ぶという不思議な設定。とても夏クールらしい……。日本のドラマでも、『ATARU』は、中居正広演じるアタルがサヴァン症候群で事件解決に導く不思議な能力を持っていた。彼もまた、膨大な事件資料や学術資料を記憶することができ、そこから事件解決の糸口を見つけ出す。少し似た設定で、どちらも世の中を正してくれるヒーロー的キャラクターだ。

『競争の番人』(フジテレビ系)小勝負勉

『競争の番人』©︎フジテレビ

 公正取引委員会に務める小勝負勉(坂口健太郎)は、20歳で司法試験に合格し、東京大学法学部を首席で卒業したいわゆる天才。少し変わった行動をするが、思わず心を開いてしまうような優しい笑顔で人懐っこいキャラクターだ。

 第1話のウエディングの潜入捜査は、『ウ・ヨンウ』の第2話に思わず重ねてしまう。また同じように、法律をペラペラと思わず口に出してしまうような記憶力も持ち合わせる。一度資料を見れば、コピーしたように全ての数字を暗記できてしまうのだ。

 反対に、警察から左遷されてきた、杏演じる白熊は、良くも悪くもすぐに行動に出てしまう熱血派。その様子をみて、小勝負が皮肉っぽく発する一言一言が、人懐っこく見えるキャラクターとのギャップがあって、良いコンビ感を演出してくれる。

『石子と羽男ーそんなコトで訴えます? ー』(TBS系)羽根岡佳男

 羽男こと羽根岡(中村倫也)は、高卒で司法試験に一発で合格した天才であり、フォトグラフィックメモリーといって写真のように観たものを記憶することができる能力を持つ。先述の二人のキャラクターと同じように、どう考えても天才。一方で、今まで記憶に頼って難関を突破してきただけに、自分のプラン通りではないことが起きると固まってしまう弱点もある。そしてただ単に能力を使って事件を解決し、「あ〜さすがの記憶力!」と思わせてくれるだけではなく、自らを「天才弁護士」としてのキャラクター付けをしようとしているところが愛らしいのだ。

 また、実は石子こと石田硝子(有村架純)も東京大学法学部を首席で卒業した秀才。言うまでもなく、この二人のタッグがこの作品の大きな見どころである。

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