『金田一少年の事件簿』道枝駿佑版でも見えた“伝統芸” ミスリード誘う視覚的な旨味も

道枝駿佑版でも見えた『金田一』の“伝統芸”

 5月22日に放送された『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系/以下『金田一』)第4話は、この“5代目・金田一一”の3つ目の事件となる「白蛇蔵殺人事件」が1話完結で描かれた。原作ではそれなりに長さのあるエピソードを、ドラマ化するにあたって1話完結に収まるようにぎゅっとタイトにまとめ上げる。初代の頃から続けられてきたある種の“伝統芸”は、改めてこれが『金田一』のドラマであるということを証明する。

 金田一家と七瀬家が一緒に家族旅行に出掛けた白蛇村で、一(道枝駿佑)と美雪(上白石萌歌)はばったり剣持(沢村一樹)と遭遇。剣持はとある殺人事件の犯人を追ってやってきたという。そんななか、怪しげな黒いマスクを被った男を見つけ、歴史ある酒造“白蛇酒造”を訪ねる3人。その黒マスクの男は5年前に行方不明になって2カ月前にひょっこり戻ってきた次男の蓮月であると説明されるも、一たちはその不審な様子を訝しく思う。それから数時間後、厳重に管理された元蔵の酒樽の中から蓮月の遺体が発見され、そして蓮月が殺された時間に元蔵の中にいた長男の左紺(吉田悟郎)は姿を消すのである。

 オープニングタイトルに入る前に“第一の殺人”が起き、開始から17分ほどで“第二の殺人”が発生。そして30分ほどで「謎はすべて解けた」という一の決め台詞へとたどり着く。一気に駆け足で登場人物たちの紹介と怪しげな雰囲気を見せ、一族の間にはびこる因縁の影すらも情緒ひとつ持たせずに描き抜いた末、解答編となる後半で一気に情感をも立てたストーリーへと仕立て上げていく。前回・前々回と2話続きで描かれた「聖恋島殺人事件」とは異なるタイプの脚色の技が炸裂していたといえよう。

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