『SPY×FAMILY』を成立させる種崎敦美の演技力 アーニャ役は今までにない挑戦に

 集英社の『少年ジャンプ+』にて現在連載中の漫画『SPY×FAMILY』がアニメ化され、4月9日よりテレビ放送ならびに動画配信サイトでのストリーミングが開始された。

『SPY×FAMILY』公式サイトより

 この春から始まる新作アニメのなかでも大きな注目を浴びる同作品、その作品性とアーニャ役を演じる種崎敦美について触れていきたい。

 『SPY×FAMILY』は、凄腕スパイである黄昏(CV:江口拓也)がターゲットとなる政治家に接触を試みるため、偽装家族を作れと組織から命じられるところからスタートする。

 名門イーデン校に養子を入学させる任務を課せられた彼は、精神科医ロイド・フォージャーを名乗り、養子を探して孤児院で少女アーニャ(CV:種崎敦美)と出会い、次に妻としてヨル・ブライア(CV:早見沙織)を選ぶことになる。

 アーニャもヨルも黄昏と同じように裏の顔を持っている。アーニャは孤児のように見えるが、ある組織の実験体で人の心を読むことができる超能力者、ヨルは市役所の事務員でありながら、犯罪組織に手を貸す殺し屋として、それぞれに隠し事をしている。

【主題歌解禁】TVアニメ『SPY×FAMILY』本予告/2022.04.09 23:00~ ON AIR

 三者三様に隠し事をし、あるいは嘘をつき、仮初の家族としての暮らしを送っていく。その先にある風景とはいったいどのようなものなのか? どんなゴールがみえてくるのか? 先の展開が気になるファンは、ぜひ原作も読んでいただきたい。

 人気作が一堂に会する春アニメの中で、本作への注目はひと際に高い。SNSやテレビでの映像広告に加え、渋谷のスクランブル交差点では大規模なプロモーションを実施。

 このような広告展開について、テレビ東京の石川社長が「やると決めた以上、徹底的にやれということで、テレビ東京のこれまでのプロモーションからすると、コストは相当突出しています」とハッキリと述べるほどで、その異例さが伺い知れるだろう(※)。

 アニメーション制作は、WIT STUDIOとCloverWorksによるダブル体制。2社ともこの10年間で産声を上げた新興のアニメーション制作会社ではあるものの、近年で言えば『その着せ替え人形は恋をする』『王様ランキング』など、それぞれに人気作品・話題作の制作を手掛けてきたスタジオだ。

 放送開始前からのこういったPR戦略が奏功し、原作ファンは元より、早耳なアニメファンからも注目を集めるなかでスタートした初回・第2回の放送は、粒揃いの制作陣がみごとに力を出し切り、原作漫画をパーフェクトに映像化したと言える上質な出来だった。

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