松本潤が劇中誰よりも変わった人物に 『となりのチカラ』遊川和彦が切り込む社会問題

『となりのチカラ』遊川和彦が切り込む社会問題

 松本潤が主演を務める『となりのチカラ』(テレビ朝日系)が1月20日にスタートした。

「チカラは人から見れば優柔不断で無力な男だ。ドラマの主人公みたいに鮮やかに問題を解決するわけでもない。でも、普通の人が見逃してしまう小さなSOSを聞き、困っている人を少しだけ日の当たるほうへ連れていくことができる」

 これは第1話のラストに猫の我輩ことナレーション(田中哲司)によって説明された、ざっくりとした主人公・チカラ(松本潤)の人物像とこのドラマにおける立ち位置である。ドラマタイトルが示す通りに、“となり(隣人)のチカラ”となるのがチカラの役割。「隣人全員、何か変。」というのがこのドラマのキャッチの一つであるが、最も変わっているのはチカラ自身だ。

 松本潤が演じるチカラは、ステレオタイプの松本潤、いわゆる“MJ”とはかけ離れた役柄であろう。心配性で優柔不断、妻・灯(あかり)から尻に敷かれるタイプの夫、自分のことには鈍感、だけど人のことには敏感で好奇心旺盛の中腰ヒーローである。現在公開中の映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』のヒーロー像とは真逆と言ってもいい。

 この第1話では中越家が引っ越してくるマンションの個性豊かな住人が一通り紹介されるが、中でもチカラが首を突っ込むことになるのが隣に住む木次家の虐待問題である。チカラは長女の好美(古川凛/朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で、るい(深津絵里)の幼少期を演じた子役!)が浴槽で凍えているところを救出。ただ、父・学(小澤征悦)が虐待をしているという確証を得られず、警察に通報することも、児童相談所に相談することもできなかった。チカラが取った行動とは、彼女に対して親身になって寄り添ってあげること。

「好美ちゃんの隣にいることだけはできるから。何時間も話を聞くことだけはできるから。ほかには何もできないかもしれないけど、それだけは約束するから。約束守るから、絶対に破らないから」

 そうチカラは好美の目を見て優しく話しかける。彼女はほとんど口を開くことはないが、チカラが手渡した手旗信号で返ってきたのが「あ・り・が・と・う」の感謝の言葉だった。

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