泉澤祐希、篤二の切なさを体現 藤野涼子との共演で『青天を衝け』が『ひよっこ』色に

『青天を衝け』が『ひよっこ』色に

 大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)が第38回より「実業<論語>編」に入った。「栄一の嫡男」というタイトルの通りに、物語の軸にあるのは栄一(吉沢亮)の息子・篤二(泉澤祐希)である。

 タイトルバック前の「篤二は栄一の後継者として期待されていました」というナレーションを裏切るようにして、篤二は放蕩を重ねていく。前回の煙草を咥えたラストシーンはその前兆と言えるもので、芸者遊びに、熊本での寮生活においても女性と駆け落ち騒ぎ。篤二は長男として渋沢家を継いでいくことにプレッシャーを抱えていたのだった。

 ただ、ほとんど家に居ずに家族との触れ合いを怠ってきた栄一の責任も少なからずあった。血洗島での謹慎生活を送る篤二は幼い日の記憶を、叔母にあたるてい(藤野涼子)へと話す。寡黙な篤二がやっと口を開くのは10歳の頃にある父との貴重な夏の思い出。それは栄一との初めての草むしりだった。「よいことをすればきっと母さまの病はよくなるよ」と栄一は言って篤二を草むしりに誘ったが、結局母の千代(橋本愛)の病がよくなることはなく、そのまま息を引き取った。「今でも夏は苦手です」──そのセリフは篤二がいまだ千代を大切に思っていることを表す一方で、新しい家族に心を開けないでいることを改めて感じさせる一言でもある。

 そんな渋沢家の構図は第38回でさらに複雑化。篤二は伯爵・橋本実梁の娘・敦子(藤松祥子)と結婚。さらに、次女の琴子(池田朱那)は大蔵省に勤める阪谷芳郎(内野謙太)と結婚。くに(仁村紗和)の産んだ文子(八木優希)も、尾高惇忠の次男・次郎との結婚が決まり、くには妾としての役目を終え、新たな人生を送りたいと渋沢家を出ていくこととなる。番組の公式Twitterでも藤野涼子と泉澤祐希の朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)共演が触れられているが、それにしても渋沢家は『ひよっこ』キャストが多い。文子を演じる八木優希は『ひよっこ』で乙女寮メンバーの一人、優子を好演。なんと言っても、栄一の母・ゑい(和久井映見)は愛されキャラの愛子である。

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