『カムカムエヴリバディ』空襲で安子の実家は被災 戦争が母と娘の物語にもたらす断絶
たちばながあった場所に店はなく、父の金太(甲本雅裕)の姿だけがあった。小しずとひさの安否を尋ねる安子に、防空壕が焼夷弾によって焼かれたと話す金太。「わしが言うた。あの防空壕に入れ言うて」。言葉を失ってしまう安子。堰を切ったように金太は妻と母の名前を叫ぶ。
反戦という朝ドラが貫いてきた軸は今作でも受け継がれていた。目の前で父を亡くした吉右衛門。吉兵衛とすれば、必死でかき集めた財産は全て失ったが、一番大事な吉右衛門は守ることができた。父親として思いを伝え、最後に息子の顔を見ることができた。吉兵衛の死は、全てを破壊する戦争の悲惨さと、戦争によっても奪えない思いがあることを雄弁に伝えていた。
戦争は安子の物語に断絶を生じさせた。大好きだった母と祖母はこの世になく、甘く優しい家族の時間は過去のものとなった。廃墟と化した世界で安子はるいと生きていかなくてはならない。それは母と娘の新たな物語の始まりを意味していた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK