『おかえりモネ』最終回まであと2話で放り込まれた未知の告白 忍び寄るコロナ禍の現在も

『おかえりモネ』衝撃的な未知の告白

 有事の際に“不要不急”とされがちな、音楽をはじめとする芸術や文化もまた然り。高橋が迷いながらも災害FMで流した音楽が不安な状況下にいる人々の心を癒したように、何の役にも立たないように思えるものが普段どれだけ支えになってくれているかを私たちはこの数年で実感したはずだ。「やっぱり音楽っていいね」という高橋の言葉が、かつて「音楽なんて何の役にも立たない」と心を閉ざした高校生の百音を巡り巡って救い出す。最終回まで残り2話。静かに頷く百音の姿に安心したのもつかの間、まだ癒えぬ未知(蒔田彩珠)の心の内が明らかとなった。

 亮(永瀬廉)と心から通じ合うことができた未知だが、一つだけ視聴者が気になっていたのは進路の件。未知は東京の大学から研究に専念しないかと誘いを受けており、ずっと保留になったまま。「私はどこにもいけない。ここを離れられない」と東京に出ることを拒む未知は、何かに囚われ本心を隠しているようだった。そんな未知に、百音はずっと触れられないでいた“あの日”について問いかける。百音と耕治(内野聖陽)が島を離れている間に何があったのか。家族は避難所までどうやって辿り着いたのか。未知の問いかけに応じず、縁側に一人座り込む祖母の雅代(竹下景子)が回想シーンで何度か放送されていたが、その後無事に家族全員が避難できたということ以外は分からないでいた。しかし、今回未知は「おばあちゃんを置いて逃げた」と初めて告白。最初は何とか雅代を連れて逃げようとしたが、迫り来る津波を見て家を飛び出したという。

「私は絶対、自分を許すことはできない。ここで自分が何かの役に立てれば、いつか……」

 未知の抱えてきたものの重さに、百音は何も言えず立ち尽くす。色んな価値観、色んな痛みを持った人たちに出会いながら、9年かけて自分をやっと解放することができた百音。一方、未知はずっと同じ場所で誰にも言えず、自分を責める声に一人耐えてきたのかと思うと胸が痛い。ただ、そんな妹に今まで何もしてあげられなかったと百音がまた苦しむこともあってほしくない。最後は2人の姉妹が家族や友人、恋人の「ただそこにいるだけで」という愛情に包まれることを願う。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる