『おかえりモネ』=朝ドラ+月9? りょーちん×みーちゃんの物語で深めたテーマ

『おかえりモネ』は朝ドラと月9が融合?

 連続テレビ小説(以下、朝ドラ)の『おかえりモネ』(NHK総合)が最終回を迎える。本作は久しぶりに現代を舞台にした朝ドラで、宮城県気仙沼市の亀島で生まれた百音こと永浦百音(清原果耶)の視点を通して2010年代の日本を描いた物語だ。

 脚本は安達奈緒子。主演は清原果耶。高い評価を受けた『透明なゆりかご』(NHK総合)のチームが再結集した『おかえりモネ』は、東日本大震災に被災した若者と彼らを優しく見守る大人たちの成長物語という難しい題材に、果敢にも挑戦した。

 震災の時に亀島にいなかった百音は、友達や家族との間に埋めがたい溝を感じており、故郷を離れて登米市の米麻町にある森林組合で働いていた。

 本作は3部構成となっており、第1部が登米編。第2部が気象予報士の試験に合格した百音が上京する東京編。そして第3部は、故郷の亀島に戻ってきた百音が震災の傷と向き合う気仙沼編となっていた。

 印象深かったのは、ドローンによる空撮を筆頭に映像面でのこだわりが随所に見られた登米編の序盤。百音を演じる清原果耶の表情はグラデーションがゆるやかで、こんな繊細な芝居がテレビドラマでできるのかと驚いた。現代的なテーマに挑む脚本はもちろんだが、何より「人間が自然に取り囲まれて生きている」ことを映像を通して感じさせようとする本作の姿勢に感銘を受けた。

 次の東京編では、安達の出世作となった月9(フジテレビ系月曜9時枠)の『リッチマン、プアウーマン』を筆頭とする仕事と恋愛を描いたドラマでみせた、ポップで華やかな世界を堪能できた。対して百音が暮らすシェアハウス・汐見湯の人間模様は、岡田惠和脚本の朝ドラ『ちゅらさん』(NHK総合)を彷彿とさせるもので、朝ドラと月9の良さが融合した物語となっていた。

 また、同じコインランドリーを利用する百音と菅波光太朗(坂口健太郎)がなかなか出会わないという「すれ違い」には「こんなベタな展開ありなのか?」と逆に痛快だった。安達が脚本を書いた『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の中でいっしょに暮らすカップルを演じた西島秀俊と内野聖陽が共演する場面も、ドラマファンとしては嬉しいサービスシーンとなっていた。こういった遊び心の感じられる場面が多かったのも東京編の魅力である。

 百音たちがお天気コーナーで、視聴者に親しみを持ってもらえるようにコサメちゃんと傘イルカくんという、かわいらしいパペット人形の掛け合いを用いたように、重苦しいテーマを扱うからこそ、ドラマだから成立するファンタジーを最大限に利用して安達奈緒子は物語を転がしていく。その際に不自然なくらいエンタメに寄せてしまう不器用さは、真面目な人が一生懸命ギャグを言おうとしている姿を見ているようで、とても微笑ましかった。



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