『ペク・ジョンウォンの呑んで、食べて、語って』で知る、韓国グルメと文化の魅力
韓国ドラマあるあるといえば、“食事”のシーンの多さではないだろうか。韓国では、食事を共にすることが、相手との繋りや人間関係を意味するからだ。日本では“お一人さま文化”が漫画やドラマのテーマになるほど浸透しているが、韓国では、基本的に友人や会社の仲間など誰かしらと食事をする機会が多い。ゆえに、2人前からのメニューが多かったり、果物やお菓子のオレオで山盛りになったパッピンス(韓国式かき氷)はシェア必須のサイズだ。
とはいえ、お一人さまで行ける店ももちろんある。このような背景から、韓国のバラエティ番組では“食事”を題材にしたプログラムが人気。アカデミー賞を受賞した大御所俳優ユン・ヨジョンやパク・ソジュンらが海外の小さな島で韓国料理店を開く『ユン食堂』、自給自足でゲストに料理を振る舞う『三色ごはん』は、俳優イ・ソジンをはじめ、タレントやアイドルが参加しているシリーズ9まで続いた反響ぶりである。
そして先日、Netflixオリジナルドキュメンタリーシリーズとして『ペク・ジョンウォンの呑んで、食べて、語って』が配信された。
本番組は、料理研究家のペク・ジョンウォンと芸能やスポーツなどの様々な分野で活躍する著名人が酒を酌み交わし、韓国を代表する酒や料理の文化を紹介しながら、人生のことまで語り合う内容だ。さらに、踊るようにグラスに注がれるソジュ(韓国焼酎)やビール、ジュウと音をたてハサミで軽快に切られていく肉厚のサムギョプサル、煮えたぎる赤いスープに純白の豆腐がダイブするスンドゥブチゲといった韓国グルメのスタメンたちが、巧みなカメラワークと音楽によって演出されている点も見どころである。ぜひ酒を片手に楽しんでいただきたい。
ところで、ペク・ジョンウォンは何者かというと、数多くの料理番組やバラエティに出演する韓国で最も有名な料理研究家で、彼のYouTubeの登録者数は520万人に達している(2021年10月19日時点)。筆者は韓国に行けない今、彼のYouTubeを見ながらプデチゲ(キムチ、ラーメン、野菜やチーズなどをトッピングして食べる鍋)やプルコギ(牛肉料理)を作ったことがあるが、簡単・美味しい・懐かしいを再現できて感動した。家庭で気軽に韓国料理を挑戦できるのも人気の理由だろう。
また、外食フランチャイズで成功を治めた実業家でもある彼の人生観や、韓国の食文化に関する知識は興味深く、酒を呑みながら心地よく耳を傾けることができる。ペク・ジョンウォンは実力者でありながら、“知り合いのおじさん”を匂わせる親しみやすい人柄がまた魅力なのだ。