『海街チャチャチャ』が描いた人と人の関わり方 コンジンが届けてくれた幸せな時間
『海街チャチャチャ』第15話の終盤では、ホン班長(キム・ソンホ)にとって実の家族のようで、命の恩人でもあったキム・ガムニ(キム・ヨンオク)が息を引き取った。生前、彼女が「みんなで笑って騒いで楽しんで帰ってほしい」と言っていたように葬式とは似ても似つかぬ雰囲気で行われ、町のみんなも彼女の最後の願いを叶えるべく集結した。
「長生きしている分美味しいものをたくさん食べて、いい景色をたくさん見て、たくさんの人に出会った、これ以上の幸せはない」
「よく見てみると たくさんの尊いものに囲まれている」
これらの言葉はガムニが亡くなる前日に言った言葉だ。自然豊かなコンジンで温かい町の人たちと過ごすことが大好きで、それが大切であると考えていたことがわかる。
それと比べ、ガムニの息子は、母親がもっと長く生きると思っていたので、突然の訃報によって会うことを先延ばしにしていたり、歯の治療費を出したりすれば良かったと後悔してばかり。だが、そう思っても謝ることすらできない。彼の中で、いつしか母親がいることが当たり前で、亡くなって初めてその大切さに気づかされたのだ。
家族同然であったガムニが息を引き取ったにもかかわらず、ホン班長は平気なふりをしていた。それは両親、祖父など今までたくさんの人の死を経験しても、その悲しみをただ我慢していたから。それを察したヘジン(シン・ミナ)は「愛する人が亡くなった時は思いっきり悲しんで」と言い、ホン班長は涙を流してガムニと遅いお別れをした。ヘジンの歯科医という設定は、歯痛を心の痛みとして描き、彼女がホン班長と親しくなる過程を通して過去の傷を取り除いているようだ。大人であるホン班長が時折、ヘジンの前で見せる子どもらしさは15話とも通ずるところがあり、一貫して伝えたいメッセージに違いないだろう。