『おかえりモネ』菅波の魅力はギャップにあり? 安達奈緒子らドラマの名手が描く男性像

安達奈緒子らドラマの名手が描く男性像

 連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)で、「#俺たちの菅波」なるTwitterのハッシュタグまで登場するほどの人気ぶりを見せている医師の菅波(坂口健太郎)。

 少女漫画でいうところの王子様キャラとは違って、不器用で実直で、人との距離感に臆病なまでに慎重で、そして愛情深く誠実。ヒロインの百音(清原果耶)とじっくり時間をかけて育んできた“名前のない関係性”が正式交際に至った際には視聴者も歓喜に沸いた。互いの痛みや傷を見せ合ってきた2人だからこそ、遠距離恋愛をものともせずに電話口のやりとりだけでもお互いに何を考えているか手にとるようにわかり、彼らがどれだけ深いところで繋がり合っているかが伝わってくる。そっとそっと百音と菅波が時に遠回りをしながらも互いの傷に近づきながら、かけがえのない存在になっていく姿はあまりに尊く、心強く、美しい。

 安達奈緒子脚本の特徴として、爽やかで誠実、だけれどもどこか無愛想な男性像が描かれ、そして主人公とその男性がすぐには恋愛関係に発展せずにゆっくり時間を重ねて関係性を築いていくところが挙げられるだろう。『G線上のあなたと私』(TBS系/以下『G線上』)での、中川大志演じる大学生の理人と主人公のアラサー女性・也映子(波瑠)との軌跡もまさにそうだった。理人もまた少々無愛想ながらどこか憎めない役どころで、也映子への発言も辛辣で遠慮がなかった。本作にせよ『G線上』にせよ、“名前のない関係”期間に自分の“柔らかい部分にある痛み”を見せ合うことで、相手を写し鏡のようにして自分自身のことを再発見し合った時間を贅沢に見せてくれる。そんな2人が時間を積み重ね関係を積み上げていくうちに、互いのことはもちろん「相手と一緒にいる、相手の前でいる自分が好き」だと、今度は相手を写し鏡にして自分自身のことを愛せるようになるという恋愛の醍醐味を描いてくれているようにも思える。

 “恋人未満”の関係が長かっただけに、関係性が深まれば深まるほど、菅波からも理人からもこれまでとは違う一面が急にこぼれ、それもまた視聴者からすればたまらなく愛らしく、そんな彼らの“ギャップ”や“意外性”を微笑ましく見守りたいと思わせられる。



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