『おかえりモネ』石井正則が鍵を握る? 音楽で解かす菅波と百音のわだかまり

『おかえりモネ』石井正則が鍵を握る?

 連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)第19週「島へ」で、菅波(坂口健太郎)の人生観、職業観に大きく影響を与えた人物である元ホルン奏者の宮田(石井正則)が再登場するようだ。

 第17週で朝岡(西島秀俊)の口からも聞かれた「誰かを助けたいという気持ちは持っていていい。でも助けることに成果を求めてはダメですよ」にも通ずるところだが、菅波がこれまで口酸っぱく言ってきた「“あなたのおかげで助かりました”という言葉は麻薬」の原体験になった人物こそがまさに宮田だ。

 有名な楽団に所属する宮田は菅波にとって初期研修が終わって最初に担当した患者で、演奏会に出たいという彼の希望を優先し手術を提案し背中押しするも、彼が演奏家として舞台に戻ることはなかったという。当時を菅波は悔しさを滲ませながら振り返る。「バカですよ。親身になって言ってくれる先生の言うことだから信じたい。そんなどうでもいい、くだらない感情を優先して、彼は経験も実績も何もないこの医者の言うことを聞いて、それで人生懸けてきたものを一気に失くした」と。

 百音(清原果耶)の誕生日に向けてプロポーズのためなのか、何か意を決した様子で上京した菅波の様子が予告編で観られたが、さらに汐見湯で2人の前でホルンの音色を響かせる宮田の姿が観られ、今なお演奏を続けている彼の様子に安堵したり胸いっぱいになった視聴者も少なくなかったのではないだろうか。

 自身が音楽コースのある高校の合格発表に行き、音楽に魅了されている間に地元・気仙沼が被災していたことから百音にとって、音楽は「後悔の象徴」であり「蓋をしてしまった記憶」の中に確かにあるもので、百音はそこから一気に距離をとり敬遠すらしてしまうようになった。父・耕治(内野聖陽)にも「音楽なんて何の役にも立たないよ」と言い放っていた百音が予告編でこぼす「音楽ってこんなにも背中を押してくれるものなんですね」に、きっと宮田の演奏が菅波の後悔も百音の無念も和らげ癒してくれたのではないかと、そんな素敵な予感をさせられる。“あの時こうしていれば……”という思いに囚われている2人の中のわだかまりが解消され、そこから解き放たれる姿が観られるのだろうか。

 また、かつて自身もトランペット奏者として活動し、音楽との出会いを百音に提供したのが父・耕治なら、再び音楽の魅力を思い起こさせるきっかけを与えるのが宮田であり、菅波ということになるのだろうか。

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