蒔田彩珠、『おかえりモネ』での成長をどう見せる? 是枝裕和らのもとで得た演技力

蒔田彩珠、『おかえりモネ』での成長に注目

 清原果耶主演のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で、主人公・百音の妹・未知を演じているのが蒔田彩珠。今週より気仙沼編となり、百音の成長と合わせて、未知の成長にも期待が高まる。若くして演技派と知られる蒔田のこれまでの演技を振り返り、『おかえりモネ』で見せた新たな顔、今後の期待を寄せてみたい。

 蒔田彩珠は神奈川県出身の19歳。印象的な眼差しで、何かを背負う影のあるキャラクターを演じることが多く、繊細や憑依という言葉では足りない、自然で丁寧な演技を見せる若き天才女優だとすら思う。7歳で子役デビューし、当時から是枝裕和、河瀬直美、瀬々敬久、犬童一心など作家性が強い監督たちと仕事してきたことが演技にも生かされているのだろう。

 特に10歳の時に是枝が民放ドラマ初監督・脚本を務めた『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)での阿部寛と山口智子の娘役では、毎回阿部と軽快なやり取りを繰り広げるませた少女を演じ注目を集めた。蒔田自身も心から演じることを楽しみ、女優になる決心を決めた作品で、今作の好演をきっかけに是枝作品の常連に。演技らしい演技を嫌い、極限まで演技をしていないと錯覚させる、役と役者を重ね合わせていく是枝演出のもとで学んだことが、蒔田の自然な演技に繋がっている。

 ドラマで印象的なのは、2016年の『重版出来!』(TBS系)での伝説の漫画家の娘役。周囲に心を閉ざし、母親を苦労させた父親を憎み、その影響からマンガも憎んでいる中学生。無表情の演技が警戒心を感じさせるも、主人公・黒沢心(黒木華)の屈託のない姿を見て心が解放されていく。薦められた漫画にさり気なく興味をもち、人生の楽しみを見いだす姿は、無表情の中にもちょっとした心の変化を見せる演技が秀逸で、視聴者を嬉しくさせた。

 そして蒔田が究極の演技を見せたのが、河瀬直美監督の映画『朝が来る』(2020年)。中学生で子供を身ごもり、里子に出す少女・片倉ひかりの苦悩と葛藤の日々を演じる。最初の登場シーンで、特別養子縁組となる夫婦に深々と頭を下げ、手にとって「ごめんなさい、お願いします」という一言だけで、様々な背景と葛藤が伝わってくる。ここからひかりの初恋から荒んでおくまでの過程が丁寧に描かれ、蒔田が本当に経験をしたのではないかと思わせるほど自然に馴染んだ演技を見せる。リアリティを追求し、順撮りで役を積み上げていくことを要求する河瀬監督だからできた演出で、蒔田はひかりのまま演じられたと言う。本来の素質と、是枝監督の役者自身そのものを引き出す演出で育ち、役の人生を積ませていく河瀬監督作品を経験してきたことで、若くして役柄の背景を感じさせる蒔田が完成した。

 『おかえりモネ』で蒔田が演じる“みーちゃん”こと永浦未知は、百音の2歳年下の妹。父と姉に代わり、自分が家業の養殖を担おうと、地元の水産試験場に就職し、百音とは対照的に島にとどまる道を選ぶ。しっかり者だが自分の考えを決して曲げない、不器用で意地っ張りの一面があり、これがみーちゃんの弱点であり人間味のあるところ。



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