『ハイヒロ』美 少年・金指一世が複雑な役どころで繊細な芝居 教師の苦悩という裏テーマも

『ハイヒロ』金指が複雑な役どころを好演

 私たちのなかには、無意識のうちにいくつもの固定概念が存在している。たとえば、赤・青・黄・緑・桃と戦隊ヒーローが並んでいたら、きっと大抵の人は「桃色は女の子」と答えるのではないだろうか。女の子が先陣を切る赤ヒーローになってもいい、男の子が桃ヒーローになってもいいはずなのに。

 『ザ・ハイスクール ヒーローズ』(テレビ朝日系)第4話では、一嘉(金指一世)と親友・花(箭内夢菜)との関係性が明らかに。そのエピソードは私たちの凝り固まった概念を優しく解きほぐしてくれるようだった。

 一嘉は、まだ小学生になる前、ピンクのランドセルを選ぼうとして「何バカなこと言ってんだ」と言われたことをきっかけにずっと葛藤を抱えていた。「男の子として生まれたけど、自分のことを女の子と思ってる」と。それを明かすことができた唯一の人物が花だったのだ。その後も変わらず接してくれた花は、一嘉にとっての“ヒーロー”だったのかもしれない。

 親友・花(箭内夢菜)を日輪魔人から救うためモモヒーローに変身した一嘉は、“モモヒーロー”として変身できたことで「運命に逆らうことができた」とつぶやく。かつてピンクを選べなかった彼にとって、本来の自分を取り戻せたような気持ちになったのだろう。「モモレンジャーは女性なんだ!」「そもそも(男が)モモヒーローなんてやりたくないだろ」と言っていた学園防衛部のメンバーたちの固定概念も徐々に薄まっていく。

 一嘉は繊細な表現が求められる役柄だ。花のために勇気を振り絞ってヒーローに変身するときや、モモヒーローになったと仲間に打ち明けようとするとき……一瞬の表情の変化でその奥にある葛藤を伝えなければならない。金指はひとつひとつを丁寧に演じていた。いつもよりワンテンポ遅い話し方や、か弱い走り方、手の動きに至るまで、真摯に役作りをしているのが伝わってくる。だからこそより惹き込まれるのだ。

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