『おかえりモネ』西島秀俊、“キャラ変”した朝岡役で新たな一面 東京編では理想の上司に

西島秀俊、朝岡役で“キャラ変”

 登米で百音が初めて朝岡と出会ったのは、森林組合が企画した石ノ森章太郎の特別原画展を見るために、朝岡が知り合いのサヤカ(夏木マリ)のもとを訪れたときだった。石ノ森章太郎の大ファンの朝岡はグッズを買い込んではしゃぐお茶目な面を見せたりもしたが、百音に天気予報は未来が分かること、気象予報の面白さを教えてくれた。

 第5話では、朝岡が希望していた移流霧を見るために、百音も早朝に旧北上川分流施設へ向かった。その幻想的な光景を見ているうちに百音が初めて自分の思いを言葉に口にしたのだった。「あの日……。私……何もできなかった」と涙を流す百音に朝岡は「霧はいつか晴れます」と静かに言葉をかけていた。

 第33話で朝岡は百音に対して、「もしかしたら誰もが自分は何もできなかったという思いを多少なりとも抱えています。でも、何もできなかったと思う人は、次はきっと何かできるようになりたいと強く思うでしょう。その思いが私たちを動かすエンジンです」という言葉を残している。

 東日本大震災のあった2011年3月11日に自分は島を離れていて、何もできなかった。その思いが澱のように心に沈んでいた百音にとって朝岡の言葉一つ一つが救いとなっていった。そして、誰かの役に立ちたいという百音が、気象予報士を目指すことで未来へと目を向けるきっかけを作ったのが朝岡なのだ。

 『おかえりモネ』の公式サイトの西島秀俊のインタビューに「朝岡は、過去に自分の仕事が命に関わっているということに直面した瞬間があるんですね。だから「ただ気象に興味がある女の子」というだけではなく、モネの深い部分にあるものを感じ取ったのかもしれません。過去に自然の脅威を目の当たりにしたもの同士、モネと出会った後は互いに共鳴しているなとも感じます」とある。

 朝岡の過去はまだ明らかになっていないが、百音が言葉にできなかった思いを掬い、そのつらい体験をエンジンに換えて新しい次の行動を起せるという気づきを与えた百音の運命を左右するほど重要な存在である。理想の上司として、有能なビジネスマンであることが東京編では強調されているが、彼にも今の仕事に情熱を傾けるきっかけとなった出来事や、まだ見せていない顔がある。百音と仕事をするうちに、朝岡が百音を振り回したり、爆発する日がくるのだろうか。どんな爆発を見せてくれるのか、しっかりと見届けなければならない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる