『ドラゴン桜』“東大専科俳優”は今後映画で活躍? 続々控える出演作からキャリアを占う
6月27日に最終回を迎えたTBS系列『ドラゴン桜』。16年前に放送された第1シリーズのようなポップさはまるでなく、第1話から福澤克雄演出の妙義がここぞとばかりに炸裂。学園用地買収をめぐって繰り広げられる勧善懲悪劇には少々面食らったことは否定できないが、それでも中心には東大を目指す生徒たちのそれぞれのドラマが確固たるかたちで存在していた。受験の結果自体はそれぞれであったが、「東大に行く/行かない」よりも「自分の人生は自分で選ぶ」というテーマを強く打ち出した点に、16年の月日を経てまで続編を作り出した意義を感じずにはいられない。
視点をドラマの内側から外側に移そう。第1シリーズで生徒のひとりだった長澤まさみが生徒たちを導く役割を務めた第2シリーズ。最終回にはサプライズで第1シリーズの生徒役俳優たちが次々と登場した。今回は声の出演だけだった山下智久も含め、6名のその後の活躍ぶりは言わずもがなであろう。興味深いことに、山下がすぐ次のクールに『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でその人気にブーストをかけたように、小池徹平、サエコ(現在は紗栄子名義で活動している)、中尾明慶も次のクールに出演した連続ドラマを飛躍の足掛かりにしていた。
一方、『ドラゴン桜』が初のプライム帯ドラマ出演だった新垣結衣の場合は、少し間隔を空けてから翌年に『ギャルサー』(日本テレビ系)と『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系)と2クール続けて出演しブレイク。すでに主演映画もあった長澤は、第1シリーズ放送終了直前にも新たな主演映画が公開され、年明けにNHKの大河ドラマへ出演という大きなチャンスが次々と用意されていたのである。
これは“学園ドラマ”という若手俳優におけるもっともオーソドックスな登竜門に共通していることではあるが、“次作”こそが真の意味で将来をうらなう重要なカギになるということだ。同じ世代の俳優たちが教室という同じシチュエーションのもとで、制服という同じ衣装を身につけて机を並べる。そんな均一的な空気のなかから頭ひとつ抜け出した先には、異なる世代の経歴も個性も分厚い俳優たちといかに渡り歩くことができるかという課題が待ち受けている。この『ドラゴン桜』にかけていえば、学園ドラマが「共通テスト」で、次の作品が「二次試験」といったところだろう。