『ここは今から倫理です。』を“学園モノ”として描いた意義 演出&制作統括に聞く

『ここは今から倫理です。』を“学園モノ”として描いた意義 演出&制作統括に聞く

 先の見えない不安な時代だからこそ、「生きること」「人生」を深く考えさせてくれるドラマが心に響く。その一つが、山田裕貴主演のNHKよるドラ『ここは今から倫理です。』だ。

 原作は雨瀬シオリの異色の学園コミックで、合意のない性行為や、自傷行為、深夜徘徊、いじめ、ドラッグなどのテーマが描かれている。『ホームルーム』(MBS)で演じた“ド変態”教師をはじめ、教師役を多数演じている山田裕貴が、本作で演じるのは、ミステリアスで風変わりな倫理教師・高柳だ。

 高柳は問題や悩みを抱えた生徒に対して正義や正論を振りかざすことは一切なく、明快な答えも出さない。したがって、ドラマを観た後にはどこかモヤモヤした思いも残るし、むしろ観終わってからモヤモヤ考える時間のほうがドラマ本編より長いかもしれない。しかし、それがまさに「倫理」なのだろう。(田幸和歌子)

2021年に観てもらう意義

 コロナ禍の現代にピッタリな題材だが、実はこのドラマの企画が最初に出されたのは、約3年前。本作の企画・演出を手掛ける渡辺哲也氏と、脚本を手掛ける脚本家・演出家・女優の高羽彩氏が原作漫画について盛り上がったところから始まった。

「もともと僕は芝居が好きで、10年ほど前に高羽さんの芝居を下北沢に観に行って以来、1年に1回くらい会っていろいろなテーマで(ドラマの企画を)提案していたんです。そんな中、3年前、高羽さんがこの原作漫画についてTwitterでつぶやいていたのを見て、僕も高校で倫理選択だったことから、この漫画を読んでいたので、盛り上がったんです」(渡辺哲也/以下、渡辺)

 最初に企画出しした際には、興味は持ってもらえたものの、ペンディングに。そこで、原作の集英社に打診したうえで、企画を出し直したところ、「よるドラ」枠で揉んでもらえることになった。そこから最終的に制作のゴーサインが出たのが2019年11月頃だったという。

 渡辺氏が企画を出した3年前から、コロナの影響もあって世の中は急速に変化し、奇しくも現在の時代性にピッタリな作品となったわけだが。

「3年前に作っても『今を描く』こと自体は変わらなかったと思います。というのも、脚本の高羽さんは、エンタメでありながら、常に時代性を強く意識したお芝居を作る方で。以前、一度通らなかった企画をもう一度出そうと提案したとき、『あの企画はあの時だから良かったんだ』と言われたこともあるんですよ。3年前に作ったとしたら、3年前の時代にどうアジャストするか悩んだでしょうし、今は2021年に観てもらう気分を、我々も高羽さんもすごく考え、意識しました」(渡辺)

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