受け継がれる『ルパン三世 カリオストロの城』の遺伝子 キャラクター配置と音楽面から考察

 今から41年前に公開されたルパン三世の劇場用作品第2作『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)(※以下、『カリオストロの城』)。現在ではアニメ映画の古典(クラシック)と位置づけられる名作だが、2010年代に入ってもデジタルリマスター版の劇場公開や、座席が揺れる演出を伴う体感型のMX4D版が上映されるなど、初公開当時には生まれていなかった世代もスクリーンで楽しむことができる作品となっている。さらには4Kテレビ対応のUHDソフトも2019年に発売されており、まさしく名画は時代を超えて愛されるという典型だ。ゴールデンタイムでの地上波テレビ放送もすでに10数回に及ぶ。『もののけ姫』(1997年)、『千と千尋の神隠し』(2001年)の映画賞受賞で世界にその名を轟かせた宮崎駿の長編第1回監督作品という箔も付き、『カリオストロの城』は、今や知らない人がいないほどポピュラーなアニメ映画だろう。

 『カリオストロの城』は隠された財宝の秘密を巡って、ヒーロー(ルパン)がヒロイン(クラリス)を守りつつ、悪漢(伯爵)と戦うといった、古典的な冒険活劇のキャラクター配置で構成されているが、このキャラクター配置こそ、アニメーターとしての宮崎駿の原点といえる長編アニメ映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)や『長靴をはいた猫』(1969年)にまでさかのぼる。『カリオストロの城』の直前に宮崎が監督したテレビアニメ『未来少年コナン』(1978年)もまた、世界を滅ぼすほどの威力を持つ太陽エネルギーを中心に、コナン(ヒーロー)、ラナ(ヒロイン)、レプカ(悪漢)という構図で物語が展開した。か弱きヒロインを守りながら、次々と襲い来る敵と戦う主人公の姿は観客が自らの気持ちを仮託して応援やすく、感情移入させられるので、活劇映画のキャラクター配置としてまさに理想と言える。このスタイルで制作された『カリオストロの城』が子ども供から大人まで幅広いニーズに支えられているのも納得と言えよう。

 あまりにも多くのアニメクリエイターに影響を及ぼした映画だけに、その後の『ルパン三世』の歴史にも、ヒーロー、ヒロイン、悪漢の図式で長編がいくつも作られた。テレビスペシャル『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』(2011年)、『ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜』(2013年)など、お宝は不老不死の秘密だったり財宝だったりとさまざまだが、ゲストヒロインがその鍵を握っている設定は共通している。『名探偵コナン』とのクロスオーバー作品『ルパン三世VS名探偵コナン』(2009年)には、ヴェスパニア王国の王女とルパンの淡いロマンスが回想で描かれるなど、ルパンとクラリスのオマージュらしき描写があった。『STAND BY ME ドラえもん』(2014年)の監督・山崎貴もまた、『カリオストロの城』の影響を受けたと語るクリエイターで、山崎が監督を務めた3DCG映画『ルパン三世 THE FIRST』(2019年)は、鍵のかかった日記ブレッソンダイアリーを持つレティシアを守るルパンの戦いが描かれる。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる