『ルパン三世 THE FIRST』はなぜ高い満足度を獲得できたのか? 制作手法やストーリーから紐解く
頭脳明晰な変装の名人にして稀代の大泥棒、女性に少し弱いところがあるものの、コミカルに動き回る中でも、決めるところはきっちりと決める。そんな国民的人気キャラクタールパン三世が活躍する映画『ルパン三世 THE FIRST』のBlu-ray&DVDが6月3日に発売される。ルパン三世シリーズ初の3DCGアニメーション、そして単独長編映画作品としては『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』以来23年ぶりの映画化ということもあり、大きな話題を呼んだ作品だ。今回は公開当時、劇場満足度95.3%(映画『ルパン三世 THE FIRST』劇場アンケート集計結果)を記録した本作の魅力について迫っていきたい。
ルパン三世とは何者なのか……この問題は、作中だけのものではない。一般的にルパン三世と聞いてイメージするのは、通称赤ジャケルパンと呼ばれるTVシリーズ『ルパン三世 PART2』か、あるいは宮崎駿が監督を務めた『ルパン三世 カリオストロの城』が多いのではないだろうか。しかし、原作はハードボイルドな大人な雰囲気が漂い、セックス&バイオレンス描写が多く、TVシリーズのイメージのままに読み出すと面食らう読者もいるだろう。近年でも原作の雰囲気に近づけた小池健監督の『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』などの『LUPIN THE IIIRD』シリーズも公開されている。一言にルパンらしさといっても、まさに変装の名人らしく、そのイメージは作品の数と同じだけ存在すると言っても過言ではない。
そのあまりにも多様すぎるキャラクターイメージや、初の3DCGアニメーションという壁があるものの、今作に対する観客の声として「いつものルパンが楽しめた」というものが多かった。しかし宮崎駿などの日本を代表するクリエイターたちが数々の技巧を凝らし、多くの傑作を生み出してきたルパンシリーズの“いつもの”を3DCGで描き出すのは並大抵のことではない。
特に難しいのは動きだろう。手書きのアニメと比較した場合、3DCGは滑らかな動きを堪能できるものの、細かなタイミングの違いなどから、ともすればアニメ的な誇張された動きの面白さがなくなってしまいかねない。しかし今作では警察官に押し倒されながらも下着姿になりながらも抜け出しパンツを直す仕草や、空中を平泳ぎのように泳ぐ仕草、また『カリオストロの城』でも印象に残る走り幅跳びのように大きくジャンプする姿など、CGの滑らかさと手書きの面白さの両方の味わいのある動きが堪能できる。
その動きが生まれた試行錯誤の様子は、特典映像のメイキングに収録されている。通常のアニメ作品と同様に、そのシーンの基本的な設計図となるストーリーボード(≒絵コンテ)を制作したのちに、それをつなげて動画にする。そして基礎となるCGにてカメラやキャラクターの大まかな位置などを決める。その後、実際にスタッフが演技して、リファレンスと呼ばれる参考となる動画を撮影し、それを元に表情などを制作、細かな修正を加えていく。