窪田正孝、フリーランス転向で広がる可能性 俳優としての“美点”を過去作から紐解く

出演作を観るたびに、「やはり素晴らしい俳優だな……」と思える存在がいる。そのパフォーマンスを目にするたびに幸福感で胸がいっぱいになり、いちオーディエンスに過ぎない自分も気持ちを奮い立たせられる。そんな俳優のひとりが、窪田正孝である。
現在は主要登場人物のひとりを演じている映画『悪い夏』が公開中で、大人気コミック『チ。-地球の運動について-』の舞台化に参加することが発表されたばかり。窪田はつねにエンターテインメントシーンの中心に立ち続けてきた。そんな彼が、今後はフリーランスの俳優として活動をしていくのだという。とても大きな決断だ。いま、ひとつの大きなうねりが生まれようとしている。
朝ドラ『エール』(2020年度前期/NHK総合)で主演を務めた経験もある窪田といえば、いまや“国民的俳優”である。2006年に『チェケラッチョ!! in TOKYO』(フジテレビ系)で初主演を務めるとともに俳優デビューを果たしてからというもの、映画、ドラマ、演劇と、出演作が途絶えることなく活躍し続けてきた。メジャーな大作映画から、作家性が色濃く反映されたミニシアター系映画まで、作品のジャンルや演じる役のタイプを問わず、彼はひとりの俳優として、その一つひとつをものにしてきた。「窪田正孝が出ているから観る」という方はかなり多いのではないだろうか。
窪田の演技にはいつも新鮮な驚きと興奮がある。彼は若き職人のようでいてアーティストでもあり、また同時にアスリートのようでもある。窪田の俳優としての姿勢には何度も感動させられてきた。演技の良し悪しというのはけっきょくのところ、受け手の感覚的なものに拠るところが大きいと私は考えている。それでもやっぱり、俳優・窪田正孝の演技は素晴らしいと断言できる。彼がたずさわった作品/キャラクターを改めて並べてみたとき、その理由が浮き彫りになってくるはずだ。
















