『MIU404』『いとしのニーナ』など話題作に続々出演 岡田健史、『中学聖日記』からの大きな飛躍

岡田健史を『中学聖日記』から振り返る

 一昨年秋にTBS系列の火曜ドラマ枠で放送された『中学聖日記』で、有村架純演じる主人公・末永聖に恋心を抱く教え子・黒岩晶役を演じた岡田健史。芸能界に入りたてかつ演技経験ゼロでありながら、オーディションを勝ち抜いて見事に役を得た彼は、まったくもって新人とは思えない落ち着いた佇まいで視聴者を魅了する。思わず黒岩晶という人物が実際に存在するかのような錯覚を味わってしまうほどの自然さは、新人であるがゆえの強みであろう。そんな岡田がこの2020年、途方もないほど大きな飛躍を遂げようとしているとなれば注目せずにはいられない。

『中学聖日記』(c)TBS

 まずは『中学聖日記』を改めて振り返ってみよう。同作で岡田が演じた晶は、ドラマ前半では15歳の中学3年生。第6話以降から18歳の高校3年生になり、ラストではさらに5年後の23歳にまで成長していく。ひとりの人間の、しかもとりわけ変化の大きい時期を3段階に分けて19歳の新人俳優が演じ抜いたというだけでもとんでもない逸材であると思えてしまうが、その中でもやはり目を見張るのは最初の中学生パートでの演技だ。聖への想いを自覚できずに持て余す姿から、自覚して以後のストレートに想いを投げ続ける姿への変化。いかにも中学生の男子らしい一連のコントラストに、徐々に勇しさを得ていく表情。それらを経て後半、心身ともにさらに青年へと成長していく過程を見るに、岡田自身も役柄と同じように成長しているのだとわかる。

『中学聖日記』(c)TBS

 もっともデビュー演技でこれだけ鮮烈なものを放ってしまえば、そこで根付いたイメージを払拭するのにいくらか時間を有するものだ。案の定『中学聖日記』では、放送前の話題の急騰ぶりに違わない評価を獲得したわけだが、その盛り上がりとは裏腹に、2019年の岡田の出演作はかなりセーブ気味であったように思える。地元・福岡で製作されたローカルドラマの主演と、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)へのゲスト出演、そしてまだ視聴層が限定されがちな配信ドラマ『フォローされたら終わり』(AbemaTV)で連ドラ初主演。少しブランクを開けることで、岡田健史から黒岩晶とのイメージを切り離し、また写真集の発売で岡田健史であることを相対的に高めていく。それでもブレイク登竜門としてお馴染みの「JR SKISKI」CMへの出演などで話題が尽きないように保ち、また岡田の演技を観たいという気持ちを駆り立ててくれるわけだ。

 そして2020年。3月に公開された、遊川和彦監督・脚本の『弥生、三月 -君を愛した30年-』で成田凌の息子役を演じてスクリーンデビューを飾ったものの、同作公開直後に新型コロナウイルスの影響で全国的に映画館が休業せざるを得ない未曾有の事態になってしまったことは致し方あるまい。それでも公開延期になっている人気ドラマの劇場版『奥様は、取り扱い注意』を含め、まだ4本の映画が公開待機している。10月公開の『望み』では、堤真一と石田ゆり子の息子役で、同級生殺害事件の関与を疑われて消息を経つという難役に。また12月に公開が予定されている『新解釈・三國志』では孫権の役を演じ、福田雄一コメディに初参戦を果たすときた。

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