『中学聖日記』有村架純が共感を集めるワケ 大胆設定でも応援したくなる理由は“素朴さ”にあり?
有村架純主演ドラマ『中学聖日記 特別編』(TBS系)が5月25日より再放送中だ。放送当初は、その大胆な設定が話題を呼んでいたが、その純愛に放送後は共感の嵐に。今回の再放送決定時のニュースも大きな話題を呼んだ。一見、世間とはギャップのある設定をここまで親近感あるものにできたのは、ヒロイン・有村架純あってこそ。そこで、有村架純の同性からも愛されるヒロイン性と『中学聖日記』での魅力を掘り下げてみたい。
『中学聖日記』が放送されたのは2018年、有村架純が25歳のとき。前年2017年のNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』では、地方から集団就職で上京し、東京で明るく懸命に生きていくヒロイン・みね子を演じ、穏やかな性格と、とにかく相手を思いやる清純の塊のようなキャラで、全国の親御さんたちからも愛される国民的女優の1人となった。しかし、『ひよっこ』が終わったタイミングで公開された映画『ナラタージュ』では、妻がいる教師・葉山(松本潤)に恋する生徒・工藤泉という、スキャンダラスな役柄に。それは、朝ドラで女優としての一つのピークに達した有村の、次のステージへの新たな挑戦だったように思う。そして、『中学聖日記』だ。今度は生徒に恋する先生役という、逆の立場を演じるというのも興味深く、“大人の女優”としてターニングポイントとなる作品と言えよう。
『中学聖日記』は、有村演じる教師・末永聖と、岡田健史演じる男子中学生・黒岩晶の禁断の恋を描くラブストーリー。当然周りは2人を引き離そうとするが、障害があればあるほど、2人の愛は深まっていくのはよくある話。これまで有村が演じた役は、先ほどの『ナラタージュ』然り、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)でのまつり役然り、婚約者や彼氏などパートナーがいるにも関わらず、自分が密かに想いを寄せる相手と成就するという役が実は多い。本来ならいわゆる“魔性の女”として共感しづらいはずなのだが、「タブーでも心から思う人と結ばれてほしい」と同性からの支持を獲得する力が有村にはある。
有村の演技が、女性たちの共感を得るようになったのは、2015年の映画『ストロボ・エッジ』からだろう。2020年出演の腕時計ブランドであるwiccaのWeb動画「香りの記憶」でのインタビュー(参考:「余計な事すんな、普通でいいから」有村架純、守り続けてきた“監督の言葉”明かす <wicca(ウィッカ)>新Web動画『香りの記憶』インタビュー)で、「仕事をする時に心に留めている言葉はありますか?」という質問に、有村は、『ストロボ・エッジ』の廣木隆一監督の「余計なことすんな、普通でいいから」という言葉を紹介。「悲しいから悲しい顔するとか、作んなくていいから。気持ちがあったら目で伝わるからっていうふうに言われて。私はそれをただ大事にして、これまでお芝居をやってきた」と答えている。