虚淵玄は2010年代を代表する作家の1人に ロボットアニメ『OBSOLETE』の感嘆すべきロジック

虚淵玄は2010年代を代表する作家の1人に ロボットアニメ『OBSOLETE』の感嘆すべきロジック

 2019年12月3日、YouTube Originalsアニメ『OBSOLETE(オブソリート)』シーズン1のエピソード1〜6が配信開始された。

 本作が初のシリーズ作品となる武右ェ門が制作、同じくシリーズ作品を手掛けるのは初めてとなるCGデザイナー出身の山田裕城が監督を務める本作。原案・シリーズ構成を手掛けるのが、2010年代を代表するアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』を送り出した虚淵玄だ。

 本作の主役は、体長2.5mという、人が乗り込む二足歩行メカとしては極限までにリアルな寸法のロボット「エグゾフレーム」。エピソード1では2023年を舞台に、軍用輸送機に搭載された米軍海兵隊仕様のエグゾフレーム「トード」が、ジャングルへ解き放たれ、そのまま戦闘に雪崩れ込む。世界に冠たる米軍の最新兵器として描かれるエグゾフレーム「トード」は、その圧倒的攻撃力で目標の陣地を制圧するが、謎の部隊=アウトキャスト・ブリゲードのエグゾフレームによる長距離狙撃によって作戦行動自体は失敗に終わる。

 続くエピソード2では、一転して8年前の2015年へ時間が巻き戻る。エグゾフレームは、異星人「ペドラー」から、石灰岩との交換によって手に入れる事で、便利な機械として使われていく、という物語の発端が描かれる。この安価なオーバーテクノロジーの、国境を越えた流入は当然先進諸国の経済的優位性を揺らがせることになり、ザンクトガレンという協定や情報操作によってその拡大を阻止しようとする。

 この、派手な戦闘シーンの1話から、物語の発端を解説する落ち着いた2話という組み立ては、本作の高橋良輔プロデューサーが37年前に監督した『太陽の牙ダグラム』を思い起こさせる。『太陽の牙ダグラム』では、第1話でロボット=コンバットアーマー同士による派手な戦闘シーンが描かれ、第2話では敵側のコンバットアーマーのみが登場し、アンチマテリアルライフルでパイロットが狙撃されて戦闘不能に陥った。ここまでのエピソードで、エグゾフレームそのものと、兵器として使われる背景を戦闘シーンと最小限の説明で伝えて終える、見事な導入部だと言える。

 その後、時系列に沿って物語は進み、最初は骨格だけだったエグゾフレームが、簡易な操縦席や装甲が取り付けられ、武装が強化されていく。ゲリラやテロリストに多用される一方で、先進諸国の正規軍への導入が進まず、その間隙を突いて民間軍事会社が台頭する。

 闘いと密接に結びついたドラマ、そして謎解き。『OBSOLETE』はまさに虚淵玄ワールド全開の作品だと言える。『魔法少女まどか☆マギカ』は言うまでもなく虚淵玄の名を押し上げた作品だが、その評価を確実なものとしたのは『Fate/Zero』であろう。

 『Fate/zero』は奈須きのこの『Fate/stay night』の外伝でありつつ、世界観を補完する役割を果たした。また、『魔法少女まどか☆マギカ』は魔法少女のバトルロイヤル、『仮面ライダー鎧武』では仮面ライダーのバトルロイヤル、アニメ『GODZILLA』は「怪獣プロレスにはしないゴジラ」と、制作サイドから提案されたテーマに従って物語を構築し、それに沿ってロジックが組み立てられている。ある意味では職人的な作風であり、それは所属する創作集団「ニトロプラス」がコミックマーケットで大きく成長し、2次創作との親和性が高いという要因もあるだろう。

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