主人公キャロル・ダンバースは6代目? コミック版から『キャプテン・マーベル』の魅力をおさらい
3月15日より公開されるマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)最新作『キャプテン・マーベル』。来るべき『アベンジャーズ/エンドゲーム』への重大な布石になることが予想される本作だが、映画をより楽しむために原作コミックを通じてその魅力に迫りたいと思う。
主人公キャロルは原作では6代目のキャプテン・マーベル
映画に登場する“キャプテン・マーベル”ことキャロル・ダンバースは金髪の美しい女性だが、コミックに初めて登場するキャプテン・マーベルは「マー=ベル」という名でクリー人の男性だった。マー=ベルはクリーが送り込んだスパイ、いわば人類にとっての敵だったが、地球で過ごすうちに地球の人々を愛するようになってしまい、キャプテン・マーベルというヒーローとして活動していくことになる。
そして本作の主人公キャロルは原作では6代目のキャプテン・マーベルにあたる。これまでもマー=ベルの息子やキャロルの親友(映画にも出てくるマリア・ランボー)の娘などがキャプテン・マーベルの名跡を継いでいた。もともとキャロルは1968年に刊行された「Marvel Super-Heroes」誌で初登場したアメリカ空軍士官だった。この頃は初代キャプテン・マーベルのコミックに出てくるやや目立つ一般人程度の扱いだったが、その後、マー=ベルと何度か共闘し(恋仲にもなる)、1977年に創刊された「Ms. Marvel #1」でクリー人の作った装置の爆発事故に巻き込まれた結果、遺伝子に変化が生じ地球人とクリー人のハイブリッドのような存在となった。以降、スーパーパワーを持った“ミズ・マーベル”として活動していくことになる。
“ミズ・マーベル”はその後もコミックに何度か登場する。人気が低迷した際はテコ入れのためなのか“バイナリー”や“ウォーバード”といった改名とマイナーチェンジを繰り返すというやや迷走がありながらも、マーベル最大の一大イベント「シビルウォー」などで再び“ミズ・マーベル”として注目を集め、2012年「Avenging Spider-Man #9」にて、正式にキャプテン・マーベルの名を受け継いだ。ちなみに余談ではあるが、その後空席となってしまった“ミズ・マーベル”もカマラ・カーンという16歳のキャプテン・マーベル大好き少女に引き継がれており、単独主人公としてはマーベルコミック初のムスリム系スーパーヒーローとなった。
キャプテン・マーベルのスーパーパワーはというと、飛行能力・超人的怪力・毒耐性・予知能力・手からビームを発する(フォトンブラスト)、さらに当然の如く宇宙空間でも生存可能……といった具合にDCコミックス最強と言われているスーパーマンも真っ青の化け物じみた能力だ。これはどういうことかと言うと、アイアンマンの飛行能力とリパルサーレイ、キャプテン・アメリカのタフネス、マイティ・ソーやハルクのパワー、スパイダーマンの危機察知能力(スパイダーセンス)といった能力を1人で持ち合わせているということであり、今までほぼ個性一本で勝負してきた既存のヒーローたちのアイデンティティをいともたやすくぶっ壊している。『ジョジョの奇妙な冒険』のファンに分かりやすく例えると、究極生命体カーズのようなもので、ここまでくると「もうこいつさえいれば良いのでは……」という気がしてくる。映画でもその実力はいかんなく発揮されるようでマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が「キャプテン・マーベルはMCUの中でも、もっとも強いヒーロー」だと語っている(参考:Entertainment weekly「Brie Larson talks suiting up as the 'flawed' but 'empowering' hero in Captain Marvel」)。
しかしここで1つ疑問点が出てくる。そう、本作の舞台はアベンジャーズ誕生前の1995年だといわれている。そんな異世界転生ものの主人公のようなスーパーヒーローが最初からいるならば、今までアベンジャーズが直面してきた地球のピンチの時には何をしていたんだと。その疑問がまさに本作の肝であり、次作である『アベンジャーズ/エンドゲーム』への鍵なのではないかと思われる。