『ホットスポット』の会話劇は平岩紙×鈴木杏がいてこそ コメディ要素を高める2人の対話

第2章に突入した『ホットスポット』(日本テレビ系)。『日曜から夜ふかし』(日本テレビ系)の「個人的ニュースを聞いてみた件」が、高橋さん(角田晃広)をここまで追い詰めることになるとは思っていなかった。
『ホットスポット』は、主人公・遠藤清美(市川実日子)と美波(平岩紙)、葉月(鈴木杏)による喫茶店「もんぶらん」やジョナサンでの雑談パートと、清美と高橋さんによるレイクホテル浅ノ湖でのお仕事パートに分かれている。お仕事パートでは、事件や困りごとが起きることが多いため、作中の会話劇の根幹を担っているのは、平岩紙、鈴木杏といえるだろう。
4人揃って話をしているとき、それぞれの役割は明確に異なる。美波は会話を展開させ、小さな笑いどころを作っていくことが多い。第1話で、美波が吹き出しながら言った「高橋さんって宇宙人だって聞いたんですけど」という小馬鹿にしたようなセリフに象徴されるように、わかりやすく笑える箇所を作っていくポジションだ。

また、第2話で体育館まで着いてこいという高橋さんに言い放った「高橋さん下受けで私たち孫受けってことですよ」など、美波のセリフにはそうはならないだろと言いたくなる会話を飛躍させる要素が散りばめられている。何よりも、平岩が「何もおかしなことを言っていません」という顔で、息継ぎも抑揚も少なく淡々と話すその態度に、なぜか納得させられ、あらぬ方向に広がっていく会話劇の虜になってしまう。
一方、葉月は美波のように会話を展開させるわけではないが、よく見るとおかしなことをしていることが多い。高橋さんが一生懸命に話をしているときでも平気でポテトを食べ、清美と料理を交換し合うこともあった。むしろ、話を聞いていないという表現が正しいかもしれない。第2話では「何かあったら連絡してください」と自分から頼み事をしておいて他人事のような態度をとったり、第3話では、美波が物忘れがひどくなってきたことを話す中で「まだ、39歳だから私には関係ない」という態度で微笑を浮かべたりと、ちょっと失礼に見えるようなリアクションでじわじわと笑わせることが多いのだ。冷静に考えるとおかしいセリフを、鈴木が何の悪気もない表情で、むしろ敬意を払っているふうの態度をとっていることにより、葉月はなんとも憎めないキャラクターになっている。
言うなれば、美波が小ボケ、葉月が大ボケというイメージだ。そして、この2種類のボケに対してツッコミをしないというボケを挟む清美、その3人に最高の間合いでツッコミを入れる高橋さん。4人が揃うと、コントとしてのピースがぴったりとハマるのだ。

『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は、女子3人の会話が思いも寄らない方向に展開し、そこにツッコミは存在しなかった。また、『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)では、私(バカリズム)がツッコミ役を果たすこともあったが、心の中で言っていることが多く、基本的にはとりとめのない会話を面白がる立場だった。