『カメラを止めるな!』『BLEACH』『斬、』など出品 多様化する国際映画祭の魅力に迫る

多様化する国際映画祭の魅力とは?

 なお、次点にはその『ムーンライト』でメガホンを取ったバリー・ジェンキンス監督が、20世紀半ばのアメリカにおける人種問題と同性愛を描いてきたジェームズ・ボールドウィンの小説を映画化した『If Beale Street Could Talk(原題)』が選ばれた。本作は、70年代初期のニューヨーク・ハーレムを舞台にして、レイプ犯の疑いがかけられた婚約者の無実を証明しようとする女性の闘いを、ジェンキンス監督らしい映像美で描く。

 次々点には、『ゼロ・グラビティ』などを手がけたアルフォンソ・キュアロン監督がメガホンを取り、今年のヴェネチア映画祭で金獅子賞も受賞した、Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』が並んだ。こちらも、現在アメリカとの国境問題に揺れるメキシコの1970年代の独裁体制を背景にしており、それだけが映画の全てではないにしろ、近年大きなテーマとなっている政治性を多分に含んだ映画が高く評価された印象だ。

 これらの政治色が濃い作品が、依然保守的傾向の残るアカデミー賞において、ジンクス通り受賞するのか。その行方を見守ることは、ある種エンターテインメントの可能性を探ることにも近い。

 このように一口に映画祭と言っても、その受賞作品やジャンルも多種多様なものがある。自分のテイストに合った映画祭を探し、実際に足を運んでみるのもよし、受賞作品の日本公開を首を長くして待つのもよし、好きな作品の受賞を願うもよし。映画祭を知ることで、新たな映画の楽しみ方を知ることができるだろう。

※平柳監督の「柳」は、旧字体が正式表記

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