『カメラを止めるな!』『BLEACH』『斬、』など出品 多様化する国際映画祭の魅力に迫る

多様化する国際映画祭の魅力とは?

 国内・海外問わず映画祭というものは、星の数ほどある。作品のポスターやCMでも、映画祭の受賞や出品のコピーを目にすることは多々あるだろう。近年では、国内映画の海外映画祭出品も多いが、映画祭によって、部門数、出品・受賞される作品の倍率や傾向もそれぞれであり、“映画祭出品”とは言っても、その出品が意味することは映画祭によって異なる。

 直近の国内における、国際映画祭出品のニュースを振り返ってみると、『ここは退屈迎えに来て』バンクーバー国際映画祭(カナダ)、『生きてるだけで、愛。』レインダンス映画祭(英)、『斬、』ヴェネチア国際映画祭(イタリア)、『BLEACH』ファンタジア国際映画祭(カナダ)、『Vision』サン・セバスティアン国際映画祭(スペイン)、『真っ赤な星』レインダンス映画祭(イギリス)、『カメラを止めるな!』ファンタジア国際映画祭(カナダ)などが挙げられる。

ファンタジア国際映画祭会場風景
ファンタジア国際映画祭会場風景(撮影:小野寺系)

 先述の映画祭において、最も国内作品に縁深いと言えるのが、ファンタジア国際映画祭かもしれない。ファンタジア国際映画祭は、「北米最大のジャンル映画祭」をテーマに、主にアクション・ファンタジー・SF・ホラー作品が出品に名を連ねる。元々、アジア映画祭としてスタートした経緯もあり、今年も『カメラを止めるな!』『BLEACH』のみならず計30作品もの国内映画が出品されており、アジアカルチャーの映画を総覧することができるといっても過言ではない。

 映画祭は、海外へのステップアップの大きな手段の一つである。国際舞台への登竜門とも言えるのがバンクーバー国際映画祭だ。バンクーバー国際映画祭は、「映画芸術を通じて各国の相互理解を深め、映画産業の活性化を図る」をテーマに掲げ、毎年約300作品を上映。インディペンデント監督の発掘と育成に力を入れ、国際的に無名な監督や、学生の作品も積極的に選出しており、海外進出への大きな足がけとなり得る。また、設立当初から東アジアの作品を紹介する部門「ドラゴン&タイガー」を設け、三池崇史監督作『オーディション』のワールドプレミア(世界で最初に披露する試写会)を成功させるなど、これまでに数多くのアジア人監督を輩出してきた実績を持つ。

 インディペンデントという意味で、もう一つ外せないのがレインダンス映画祭だ。クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』、クリストファー・ノーラン監督『メメント』など多くの注目作の英国プレミアをインディペンデントながら成功させており、ヨーロッパ最大の独立系映画祭の一つと言える。レインダンス映画祭では平柳敦子監督『オー・ルーシー!』が去年オープニング作品で選出され、今年も『生きてるだけで、愛。』『真っ赤な星』の2作品がコンペティション部門でノミネートされるなど、日本の独立系作品も高く評価している。

 これらだけをとってみても、作品の傾向も出品されている映画祭もバラバラであることは明白だ。

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