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『タラレバ娘』を見て思い出す『逃げ恥』の百合 “女の幸せ”という呪いから逃れるためには?

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 ドラマ『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)を、恐る恐る見た。というのも、筆者は原作を楽しく読んでいた1人で、33歳の女。そう、原作の主人公たちと同い年だ。ドラマの放送が始まるとき「主人公たちの年齢が30歳に引き下げられているらしい」「しかも演じているのは20代で美人女優ばかりらしい」……と、周囲がざわついたものだ。

 『東京タラレバ娘』は、「こうだっタラ」「こうしてレバ」と、女子会でタラレバ話で盛り上がっているアラサー女性に「安全地帯で愚痴をこぼしてないで、現実を見ろ」と尻を叩くようなマンガだ。“このままじゃ、東京オリンピックがくる2020年もひとりかもよ!?”という恐怖をあおる感じは、なんだか“1999年に地球は滅亡する”と囁かれたノストラダムスの大予言を思い出す。ああ、懐かしいね。20代の方は知っているのだろうか。

 実際、ドラマ『東京タラレバ娘』を見た感想は、どこか懐かしいなというものだった。30歳前に結婚しないとヤバい!とアセる女性は、90年代によく描かれていた。ドラマ『29歳のクリスマス』を見ながら、“女が自分らしく生きるって言うと、なんと敵が多いことか……”と、漠然と怯えたものだ。今でも年末にマライアキャリーの「恋人たちのクリスマス」を聴くと心がスースーするのは、パブロフの犬的なやつかもしれない。倫子(吉高由里子)が追い込まれて見えるようになってしまった幻覚のタラちゃんとレバちゃん、ドキッとするシーンで胸からハートが飛び出したり、ハッピーなときにはハートが舞ったりというコミカルな演出は、これまた恋と仕事に奔走する海外ドラマ『アリー my Love』を思い出した。

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 そんな約20年前の名作たちを彷彿とさせるドラマ『東京タラレバ娘』は、“女の幸せ”という呪いが、今も多くの女性たちの心を巣食っている証拠かもしれない。固定電話がスマホに、風の噂がSNSに。ツールは進化しても、人の営みというのは劇的な変化はしていないのだ。昨シーズンのドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、石田ゆり子演じるアラフィフのキャリアウーマン・百合が、若さに最大の価値を感じている女性に対して「そんな呪いからは逃げてしまいなさい」と諭したのに。解かれたと思った呪いに、再びかけられた気分である。

 女は若いうちに結婚した方が幸せだ。なんて声高に叫ぶ人は減ったものの、実際には出産できるリミットもあり、現実的な選択に迫られるのが女の性。学校を卒業して、就職して、仕事が楽しくなったころには20代半ば。せっかく築いたキャリアと、結婚や出産のタイミングをどうするか考えている内に30歳。ベテランになるほど期待値が高まる一方。必死にくらいついても、若い才能や勢いに敵わないこともある。そろそろ結婚をちゃんと考えよう、と周りを見れば、いい男にはたいてい奥さんや彼女がいて、聞き分けのいい大人の女を装ったら、あっという間に都合のいい女のできあがり!って、香(榮倉奈々)や小雪(大島優子)のことだって、笑えないのが現代女性の本音かもしれない。

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 ちなみに現実の女子会は、もっとシビアだ。33歳になれば、仲よし女友だち3人組だった友人でさえ、だいたい1人くらいは結婚する。そうなると、人生すごろくは差がつくばかり。妊活、出産、キャリア復帰、子育て、親の介護、不倫、そして離婚……なんてことも珍しくはない時代。お互いに独身で「恋愛も仕事もしんどいね」「幸せになりたいね」と共感できる年齢という意味では、30歳で妥当だったのかもしれない。原作マンガに比べてドラマは恋愛に対する初々しさを感じて、微笑ましい。「頑張れ、頑張れ」と応援したくなる。

 女友だちは、人生のセコンドだ。女子会は、厳しい現実のインターバルだ。どんなにライフステージが変わっても、それぞれのリングで闘い、傷つく仲間を「よく闘ってるよ」と抱きとめるのが、女の友情なのだ。大事なのは、何のために闘っているのかを見失わないこと。女は話しながら考えをまとめることが得意だ。女子会も「私はコレが大事だったんだ」というものを確認しているのだ。

      

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