【漫画】「猫になりたい」夢が叶う? 猫と人間が入れ替わる『健太郎、俺はね』が泣ける

「どうしてみんな/こんなに人間をやるのが上手いんだろう」
もともと猫であった学生・アキオの苦悩を描いた漫画『健太郎、俺はね』がSNSで公開されている。世の中で飼い猫とその飼い主が入れ替わる現象が発生し、猫だったアキオも飼い主の健太郎と入れ替わってしまった。人間の暮らしに疲弊するアキオであったが、とある女の子から愛の告白を受け……。
人間の暮らしを俯瞰しつつ、猫と飼い主の関係を描いた本作。作者の青三さんに創作のきっかけや本作に込めた思いなど、話を聞いた。(あんどうまこと)
続きを読むには画像をクリック

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
青三:「擬人化もの」の漫画が流行っているなと思い、少しだけ流行りに乗りたいという気持ちから猫と人間が入れ替わる物語を描きました。また自分の中に「人間やめたいな」という気持ちもあったので、その気持ちが混ざって本作が生まれました。
ーー冒頭のモノローグや、作中の「人間やるの/疲れる…」という台詞など、「人間をやる」という考え方が新鮮でした。
青三:物心のついた頃から「人間って疲れるな」と思っていました。今でも家を出るときに「えいっ」と力を入れて、人間の形を取り繕って外に出る感じがあり……。逆に家へ帰ってくると「人間じゃなくていいや」と思い、とてもほっとするんです。
会社にいるときは「会社の人間としての形」を作るために、どこかしら身体にグッと力が入り、疲れてしまう。また会社だけでなく学校生活も大変だと感じていました。こどもの頃から「みんな、とても上手に人間をやっている」ように見えていましたね。
ーー登場する彼女の「猫を好きになれない」境遇も新鮮だと思いました。
青三:彼女が泣きながら話した「自分が猫好きになれないから」というセリフは作中に入れたかったです。今は猫ブームといいますか、多くの人が猫を好きじゃないですか。でも猫を好きになれない人もいると思うのです。猫を好きになれなくて苦労した彼女の背景やパーソナルな部分を感じてもらえたらいいなと思い、この台詞を描きました。
ーー猫の「健太郎」の姿は、ペットショップで売られている猫とは違った可愛らしさやリアルさがあると感じました。
青三:健太郎はうちの実家の猫がモデルなんです。今14歳の猫なのですが毛並みが整っておらず、モサっとしていて。老いてきて毛に水分がなくなり、ボソボソした感じが可愛くてモデルにしました。
ーー人間になったアキオの姿を描くなかで意識したことは?
青三:ビジュアル的には健太郎が人間だった頃よりも、シュッとした清潔感のある、異性からモテる感じにしようと思いました。猫が人間になった方が、対人関係などが上手くいくような気がしたからです。
ーー漫画を描き始めたきっかけを教えてください。
青三:本格的に作品を描き始めたのは3年くらい前でした。こどもの頃から絵や漫画を描くのが好きでしたが、iPadやお絵描き用のソフトを用いるとこんなに簡単に描けるんだと驚きましたね。最初は落書きのようなイラスト制作から始め、少しずつ漫画作品を描くようになりました。
ーー創作を続けるためのモチベーションは?
青三:私にとって漫画を描くことはストレスの発散です。社会で己を抑えて生きている部分を、漫画では全て出すことができ、とてもスッキリします。
とくに「ネームが完成した時」が1番楽しくて、コマ割りを考える作業が好きなんです。本作では人間になったアキオが動物病院に走っていく見開きのシーンがうまく作れたなと思っています。
ーー今後の目標を教えてください。
青三:漫画を通じて「老いていくこと」を描いていきたいです。人は必ず死んでいくし、時間はどうしても流れていく。そういう人生の積み重ねを作品で描きたいと思っています。
ーー人間のアキオが彼女ではなく猫の健太郎を選び、フラれてしまったあとの「…ま/いっか」と口にした際の笑顔は、少し老いた、大人になったからこその表情かと思いました。
青三:ありがとうございます。若さは誰でも持っている、もしくは持っていた財産ですが、その財産をどう使ってきたかが老いた体に表れると思うのです。人生のターニングポイントで、エネルギーを消費して何かを選び取る。その選択の果てに出来上がったものが「老体」なのかなと。ポジティブな意味での「老い」を、これからも丁寧に描いていきたいです。




















