アソビシステム × LINEマンガが挑む新オーディション 中川悠介と髙橋将峰、二人のキーマンに聞く「異業種コラボ」の真意

きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPERなどが所属する芸能事務所で、アーティストからイベントまで幅広いプロデュースや企画・制作を手掛けるアソビシステム。
日本のKAWAIIカルチャーを世界に向けて発信する紛れもない震源地だが、次に取り組むのはマンガ、それも縦読みコミック「ウェブトゥーン」のようだ。
2026年8月5日、電子コミックサービスのLINEマンガと共に、マンガクリエイターを発掘するオーディション「ASOBI STORY AUDITION 2026 powered by LINEマンガ」を立ち上げたからだ。
アソビシステムは、なぜマンガに目を向けたのか。LINEマンガと共に描く、その先のビジョンとは? アソビシステム代表の中川悠介氏と、LINEマンガを運営するLINE Digital Frontier代表取締役・髙橋将峰氏に聞いた。

『ふるっぱー物語』ができたら面白いですよね。
――アソビシステムとLINEマンガとは、意外なマッチングでした。
中川悠介(以下、中川):確かにリリース直後は周囲からものすごく聞かれましたね。「何やるの?」って。
髙橋将峰(以下、髙橋):うちにも「どうしてアソビシステムと?」と問い合わせが相次ぎましたよ。競合の同業社からも来たほどです(笑)。

――そもそも、今回のコラボの経緯から教えてもらえますか?
中川:僕らから言うと、以前からマンガに携わりたいと思っていました。たとえばアソビシステムで、マンガ家をマネジメントしたいなと考えていたんです。
理由のひとつは「グローバルで通用するコンテンツとしての強さを目の当たりにする機会が多かった」から。世界中の音楽フェスやイベントに参加していますが、どの国に行ってもマンガは支持されて、多くのキャラクターが愛されています。日本発のカルチャーとしてのすごみを日々、感じていました。
加えてもうひとつの理由は、マンガを手掛けることで「僕らのクリエイティブの源に、新しい力を与えてくれるんじゃないか」という期待もあるからです。たとえばアイドルや音楽といったものに、絵とストーリーによる「マンガ」が掛け合わさったら、どうなるのか――。そんな思いもずっとありました。
昔あった、『ラモス瑠偉物語』や『ピンク・レディー物語』のように、『FRUITS ZIPPER物語』ができたら、面白いですよね。
――おお。ファンの方々はもちろん、マンガをきっかけに新たなファンもできそうですね。
中川:新たなチャネルが増えることは、また新しいファンの方々と出会う入口が増えることにつながりますからね。
それだけではなく、マンガという強力なファクターが加われば、アソビシステムはより魅力を増すことができる。これまで想像できなかった新しいクリエイティブを形にできると期待しているんですよ。
――もっとも、マンガに強い出版社や他の電子コミックサイトは多々あります。その中で、なぜLINEマンガとの共創を選ばれたのでしょう?
中川:新しいことに積極的に挑戦するプラットフォーム、と認識していたからです。しかも、誰しもマンガを投稿でき、連載ができる「LINEマンガ インディーズ」や、コラボレーションによる「声優発掘アフレコオーディション」など、新たな才能を見つけ、育てることにも積極的でした。
きっと一緒に新しいことをするときの方向性やスピード感もフィットしやすいだろうなと感じたので、僕らからアプローチさせてもらいました。

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LINEマンガの人気作『コードネーム:バッドロー』を題材に声優を育成するアミューズメントメディア総合学院(AMG)の学生が参加す…髙橋:最初にご連絡いただいたのが、今年の4月くらいでしたよね。
――LINEマンガ側としては、アソビシステムからのコラボのお誘いを、どう思われました?
髙橋:驚きましたよ。私の娘だってKAWAII LAB.(カワイイラボ)の大ファンですし、アソビシステムに所属しているアーティストやタレントが好きな社員も多いので「自分が担当したい」「絶対やりたい」と熱量もすごくて(笑)。同時に、私自身も大いに可能性を感じました。
アソビシステムさんは「原宿から世界へ」と銘打って、独自の世界観でアイドルなどのカルチャーをグローバルに発信している。多くのコラボレーションや共創をしてきましたが、これまでのコラボ相手のどこよりもマンガと離れた場所に立っていましたからね。斬新なアイデアが絶対に出てくるだろうという確信がありました。
実は、LINEマンガでウェブトゥーンの配信をはじめた時、「日本は横読みのマンガ文化がすでに根付いている。100%流行らない」と言われたんですよ。「縦スクロールのウェブトゥーンでアクションマンガなんて書けない」とか。
中川:そうだったんですか。
髙橋:はい。しかし、おかげさまでウェブトゥーンは日本でも根づき、アクションマンガはとても人気のジャンルです。
中川:なるほど(笑)。
髙橋:やはり新しいことに挑戦するならば、業界の常識の外から見て判断することがとても大事かなと実感しているんですよ。
また、アソビさんのファンの中に、中学生以下の方々が多いであろうことも、強く魅かれたところもあります。
――若いファンが多いことに魅かれた理由とは?
髙橋:いま最もマンガ離れが進んでいると言われているのが、その世代だからです。ショート動画など他にも興味のあるコンテンツが多いため、マンガに触れる機会が少なくなっています。
先ほど中川さんは、「新たなチャネルを開くきっかけに」とおっしゃっていましたが、我々もそれは同様です。アソビさんとご一緒することで、新たなユーザーの方々にマンガの魅力をあらためて伝えられる機会と、ヒントを得られるのではないかと考えました。
そんな両社で、最もスピーディーに立ち上げられるコラボは何か? そう考えた結果が、今回のクリエイター発掘プロジェクト「ASOBI STORY AUDITION 2026 powered by LINEマンガ」だったというわけです。
「好き」というポジティブな気持ちをマンガに。
――「ASOBI STORY AUDITION 2026 powered by LINEマンガ」は、作品を2部門で募集するそうですね。
髙橋:はい。原作と作画の2部門に分かれています。読切作品を想定した原作を募集する「原作部門」と、ウェブトゥーンの課題ネームをもとにした作画作品を募集する「作画部門」の2つです。
受賞者には50万円の賞金が出るとともに、LINEマンガやアソビシステムなどから必ず担当が付き、その後のクリエイター活動をサポートします。
――一本の完成作品を提出するのではなく、参加のハードルが低くなっている印象です。
髙橋:そこは意識しました。アソビシステムという名を冠してオーディションするならば、まずは「どんな世界観のアイデアが出てくるのか」を広く見てみたいと思いました。原作から作画まで1人で1本のマンガ作品を描くことは、参加のハードルが高いですからね。
中川:アイドルやミュージシャンも同じで、オーディションって「応募したい!」と思う方がいても、自分に自信がなくて二の足を踏む方がとても多いと感じているんです。
しかし今回は「こんなストーリーが面白そうだ」「描いてみたい」という気持ちでチャレンジしやすい。まずは多くの方に参加していただきたいと考えました。
――また、作品の募集テーマとして「『好き』を原動力に、新しい世界へ進む主人公たちの物語」が掲げられているのも特徴的ですね。
中川:はい。うちの会社のクリエイティビティの根っこには「好き」という気持ちが大きくあるんですね。
原宿にせよ、アイドルにせよ、人々の「好き」というポジティブな気持ちが、新しい何かを生み出すと信じていますし、それを大切にしているんです。
なので、今回、「アソビらしい作品を募集したい」と考えたときに真っ先に「好き」を原動力にして主人公たちがポジティブに突き進む物語を読みたい、テーマにしたいと考えました。
――「アソビシステムらしい」というと、「アイドルや原宿の物語をつくろう!」なんて考える方もいそうですが、もっと本質的な部分をテーマにして設定されたわけですね。
中川:そうです。なので、ピンクなどのかわいくてカラフルな色使いである必要はありません(笑)。むしろもっと根源的であると同時に間口の広い、「好き」の力を感じさせる、ポジティブなストーリーを期待します。
そうしたポジティビティが世の中から求められていることも感じています。音楽の世界がまさにそうで、中でもうちは「自己肯定感が高い曲で人気が出ている」と言われます。
とくにコロナ禍で一度、社会が暗くなったあと、明るい話、元気なパワーを世界中から求められたのだと感じています。「お涙頂戴でみんなで泣きましょう」ではなく、「一緒に笑いましょう!」のほうが、今なのかなと。
――なるほど。髙橋さん、マンガの世界でも似た流れ、ポジティブな物語のほうが受けるような傾向はあるのでしょうか?
髙橋:感じますね。バッドエンドが求められていた時期もあったと思うのですが、今は減っている気がします。また、少し違う角度でいうと、バッドエンドで終わる作品って、その後、IPになりづらい側面があるのではないかと思っています。
いわゆるIP展開している作品は、連載が終わったからといって終わりではない。完結後もグッズが作られたり、“聖地巡礼”をするファンの方の話も聞きますよね。しかし、バッドエンドで終わった作品は、読者がその後、キャラクターやグッズを見たときにへこんでしまうというか、どうしてもネガティブな感情がよぎってしまう。ハッピーになりにくいですからね。
いや、もちろん、バッドエンドやネガティブな感情を伝えるべき作品も多々あるとは思いますよ。しかし、今回のオーディションではポジティブなものを、ぜひ。
――また今回は、受賞者にはアソビシステムからも担当が付く可能性があり、クリエイターをサポートしていくというのがユニークですね。
中川:我々の本業で、得意としているのはマネジメントやプロデュースですからね。アイドルだろうが、インフルエンサーだろうが、マンガ家だろうが、それは変わらないと思っています。人や才能を育てるノウハウは日々、積み上げていますので。
髙橋:最初のミーティングのときから、中川さんがそのようにおっしゃってくれた。新しい形でマンガ、ウェブトゥーンのクリエイターが育っていくかと思うと、とても楽しみですね。
――たとえば、このオーディションで生まれ、育ったクリエイターが、LINEマンガの中で連載がはじまり、さらに「アソビシステム」のレーベルで作品群が生まれるようなことが考えられるのでしょうか。
髙橋:大いにありえますね。「好き」をテーマにしたポジティブなマンガのレーベルができたら、素晴らしいですよね。
中川:ぜひそうしていきたいですね。ただ、こうしたオーディションって、あまりゴールを明確に決めるより、集まった才能に対して「彼、彼女にはこういうステップがいいだろうな」と見つけていくほうが成功確率があがると思うんです。ある種、セッションのように進めていくのが面白い面もある。そうした先の読めなさも含めて、楽しみにしていただきたいですね。
――ところで、中川さんが好きなマンガ作品って、何なのでしょうか?
中川:たくさんありますよ。とくに「島耕作」シリーズ(弘兼憲史/講談社)とか好きですね。僕はサラリーマン経験が無いので、「そうか。派閥ってこういう感じなのか」と社会と会社を勉強させてもらってきました。
――あれ、髙橋さんも『島耕作』好きでしたよね。
髙橋:偶然にも同じでしたね(笑)。僕の場合はサラリーマンから始まっているので、島耕作と重なる部分があります。
中川:奇遇ですね。だからって、今回のオーディションでは島耕作に寄せた作品じゃなくて結構なので、書いておいてください(笑)。

◾️応募情報
「ASOBI STORY AUDITION 2026 powered by LINEマンガ」
応募期間:2026年8月5日~2026年9月30日23:59
募集テーマ:『好き』を原動力に、新しい世界へ進む主人公たちの物語
応募点数:おひとりさま各部門1作品まで
募集部門:
・原作部門(本編15,000字以内/500字程度の要約必須/シナリオ形式推奨、小説形式も可)
・作画部門(『先輩はおとこのこ』の作家・ぽむによる課題ネーム約30コマをもとにした作画/ウェブトゥーン形式のみ/モノクロ可、カラー推奨)
各賞:優秀賞 賞金50万円+担当付き(LINEマンガ・アソビシステム・他より)
審査員:ぽむ、 LINEマンガ編集部
ゲスト審査員:ゆうたろう、こーくん、高梨ゆな(MORE STAR)、ヨシダナツミ
結果発表:2026年10月下旬予定
特設ページ:https://asobi-story-audition.com



























