桐野夏生の新作長編『眠れぬおまえに遠くの夜を』刊行 韓国芸能界の光と闇を描く

桐野夏生『眠れぬおまえに遠くの夜を』(文藝春秋)が2026年4月22日に発売された。
本作は月刊『文藝春秋』で連載された桐野夏生による長編作品。物語の舞台は「韓国芸能界」。K-POPや韓国ドラマが世界的に注目を浴び、大きな成功を収める一方、スキャンダルへの過剰な対応や契約問題など負の側面が話題になることも多いという。今作では栄光の果てに転落を味わう男・ナダンについて、演技派俳優・テミンのモノローグによって語られる。
本書の装画・装丁を務めたのは城井文平。地に引いた夜空は、黒い画用紙に錐で無数に穴をあけ、後方から光を照らした状態で撮影することで星たちを表現。一筋の流星とタイトルはホログラムの箔押しで、圧倒的な光を放ちながら落下してゆくナダンの姿を重ねている。
本作について著者・桐野は「今作は、『終わった男』と評されるナダンの転落劇ではあるのですが、実は視点人物であるテミンも変わっていきます。ナダンもテミンも、芸能界のなかで『求められる役柄』を演じるなかで、自分を見失っていき、もともとの自分から乖離していく。語るテミンと、語られるナダン、どちらもが変容していく二重構造ですね。そしてそれは彼ら『芸能人』だけにとどまらず、一般社会に生きる我々もまたそうなのではないかと思います」とコメントしている。
■著者プロフィール
桐野夏生(きりの・なつお)
一九五一年金沢市生まれ。九三年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞受賞。九八年『OUT』で日本推理作家協会賞、九九年『柔らかな頬』で直木賞、二〇〇三年『グロテスク』で泉鏡花賞、〇四年『残虐記』で柴田錬三郎賞、〇五年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、〇八年『東京島』で谷崎潤一郎賞、〇九年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』で一〇年、一一年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞、二三年『燕は戻ってこない』で毎日芸術賞と吉川英治文学賞の二賞を受賞。一五年紫綬褒章受章。二一年早稲田大学坪内逍遥大賞、二四年に日本芸術院賞を受賞。『オパールの炎』『ダークネス』など著者多数。日本ペンクラブ会長。
■書誌情報
『眠れぬおまえに遠くの夜を』
著者:桐野夏生
価格:2,200円(税込)
発売日:2026年4月22日
出版社:文藝春秋
























