【文芸書ランキング】『100分de名著』テキストから紐解く、現代の絵本ブーム 若林正恭『青天』は3週連続首位

「100分de名著」絵本特集がランクイン

 2026年3月第1週のオリコン文芸書ランキング(※1)の第1位は若林正恭の『青天』(文藝春秋)と、3週連続でトップに輝いた。2月後半の時点で10万部の重版が決定するなど、好調な動きを見せている。小説関連では引き続き本屋大賞ノミネート作が強いほか、直木賞受賞作の嶋津輝『カフェーの帰り道』(東京創元社)などもランクインが続いている状態だ。

 そのような中で注目したいのが第8位にランクインした『100分de名著 絵本スペシャル 2026年3月』(NHK出版)である。「100分de名著」はNHK Eテレで放送されている教養番組で「誰もが一度は読みたいと思いながら、なかなか手に取ることができない古今東西の『名著』を、25分×4回=100分で読み解く」(「NHK ONE」の番組内容紹介文より抜粋)というものだ。これまでもヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』(新版は池田香代子訳でみすず書房より刊行)など、古典名著を中心に多くの本を紹介してきた番組である。その「100分de名著」が、2026年3月に番組初の絵本特集を行うこととなった。全4回のラインナップは佐野洋子作・絵の『100万回生きたねこ』(講談社、番組内講師は宮崎哲弥)、ダビデ・カリ作、レジーナ・ルック-トゥーンペレ絵の『だれのせい?』(green seed books、番組内講師は同作の翻訳を務めたヤマザキマリ)、田島征三の『ぼくのこえがきこえますか』(童心社、番組内講師はサヘル・ローズ)、シェル・シルヴァスタイン作&村上春樹訳の『おおきな木』(あすなろ書房、番組内講師は若松英輔)となっている。

 番組テキストに当たる同書を読んでみると、漫画家であり画家、文筆家であるヤマザキが画法と作者が美術を学んだ風土を絡めながら作品を論じ、サヘル・ローズが自身の体験を率直に語りながら『ぼくのこえがきこえますか』に込められた「戦争とは何か?」という問いを突き詰めるなど、絵本作品をより深く鑑賞するための視点が養われる内容になっている。

 出版不況の中でも絵本市場が堅調であることは度々言及され(※2)、「100分de名著」を放送するNHKでは2025年にも情報番組「NHKあさイチ」で「心がほどける…オトナに人気の『絵本』」特集を組むなど、絵本の世界を深く知りたいという読者の思いは依然として高いように見受けられる。今回の「100分de名著」テキストもそうした思いが反映されているのではないだろうか。

※1 https://www.oricon.co.jp/rank/oba/w/2026-03-16/
※2 https://journal.meti.go.jp/honya/42312/

■書誌情報
『NHK 100分de名著 絵本スペシャル 2026年3月』
編集:NHK出版 日本放送協会
価格:700円
発売日:2026年2月24日
出版社:NHK出版

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