松本卓也『斜め論』が「紀伊國屋じんぶん大賞 2026 読者と選ぶ人文書ベスト 30」大賞受賞

『斜め論』紀伊國屋じんぶん大賞 2026受賞

 「紀伊國屋じんぶん大賞 2026 読者と選ぶ人文書ベスト 30」が2月1日に発表。松本卓也『斜め論ーー空間の病理学』(筑摩書房/2025年8月7日刊)が第1位に選出され、大賞を受賞した。

 『斜め論ーー空間の病理学』は2015年のデビュー作『人はみな妄想する』(青土社)でラカン像を刷新した精神医学者、松本による「心」をめぐる概念の変遷をたどる一冊。

 自己実現や乗り越えること、あるいは精神分析による自己の掘り下げを特徴とする「垂直」方向と、自助グループや居場所型デイケアなど、隣人とかかわっていくことを重視する「水平」方向。20世紀が「垂直」の世紀だとすれば、今世紀は「水平」、そしてそこに「ちょっとした垂直性」を加えた「斜め」へと、パラダイムがシフトしていく時代といえるーー。ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究、ガタリ、ウリ、ラカン、ハイデガーらの議論をもとに、精神病理学とそれにかかわる人間観の変遷を跡付け、「斜め」の理論をひらいていこうとする試みが展開される。

 「紀伊國屋じんぶん大賞」は今年で16回目となる文学賞。紀伊國屋書店スタッフの「読者の皆さまと共に優れた人文書を紹介し、魅力ある『書店空間』を作っていきたい」という思いから立ち上げられ、近年では福尾匠著『非美学ーージル・ドゥルーズの言葉と物』(河出書房新社)、小野寺拓也・田野大輔共著『検証ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット)、高島鈴著『布団の中から蜂起せよ――アナーカ・フェミニズムのための断章』(人文書院)などが大賞を受賞。

 また今回の選出作品を一挙展開する「紀伊國屋じんぶん大賞 2026」フェアが、2026年2月1日(日)より全国の紀伊國屋書店各店舗にて開催。選考委員および読者からの推薦コメントを掲載した小冊子が店頭にて配布される。

■書誌情報
『斜め論ーー空間の病理学』
著者:松本卓也
価格:2,420円(税込)
発売日:2025年8月7日
出版社:筑摩書房

松本卓也、デビュー10年目の到達点『斜め論』インタビュー 水平化する世界で弁証法的な対話を再起動するために

 自己実現や自己の掘り下げを志向する「垂直」方向と、他者との共生やつながりを重視する「水平」方向。20世紀が「垂直」の時…

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