宝塚をめぐる言葉の往復 最果タヒ×豪華ゲスト11人の書簡集刊行

詩人・最果タヒと豪華ゲスト11人による宝塚観劇往復書簡集『ときには恋への招待状―詩人からさまざまな方へ、宝塚公演へのおさそいの記録。』(河出書房新社)が2026年1月5日(月)に発売される。
【画像】宝塚を愛してやまない最果タヒと、豪華ゲスト11人による宝塚観劇往復書簡集
「この公演をぜひご覧になっていただきたいのです」始まりは、宝塚を愛してやまない詩人・最果タヒから突然届いた招待状。「なぜ私に?」「宝塚が好きな人の情熱に巻き込まれる運命が自分にはあるのかも」「このお仕事はどう身を捩っても避けられない」…それぞれの思いを胸に、劇場へと向かう11人のゲスト。「(パンフレットを見て)幕が上がる前から完全に現実を超越しました」「赤い唇に、夢のなかにしか存在しない男性を感じています」「人は異空間を作れてしまうんですね」――男役と娘役、お化粧とお衣装、デュエットダンス、ウインク、退団公演……夢ときらめきに満ちた舞台に魅了されたゲストが、言葉で、絵で、マンガでしたためた最果への返信と、最果から届いたさらなる手紙たち――。
『ときには恋への招待状―詩人からさまざまな方へ、宝塚公演へのおさそいの記録。』は、朝吹真理子(作家)、犬山紙子(コラムニスト)、岡崎琢磨(作家)、勝田文(漫画家)、末次由紀(漫画家)、名久井直子(ブックデザイナー)、はるな檸檬(漫画家)、ヒグチユウコ(画家)、穂村弘(歌人)、吉澤嘉代子(シンガーソングライター)、綿矢りさ(作家)、総勢11人の豪華ゲストと、宝塚を愛してやまない詩人・最果タヒが宝塚の魅力を綴り交わし合う、前代未聞の往復書簡集。
ゲストが観劇した演目は、「蒼穹の昴」「JAGUAR BEAT」「うたかたの恋」「カジノ・ロワイヤル」「Grande TAKARAZUKA 110!」など、2022年から2024年に上演された11作品。オリジナル作品、王道レビュー、人気映画やゲームの舞台化作品まで、様々な演目への熱い思いが、それぞれの表現方法で語られる。
小林千秋が、招待状から咲く美しい薔薇の絵が描かれた装画を。名久井直子が宝塚のきらめきと観劇者の夢心地を封じ込めたようなホログラム加工カバーの装幀を担当した。
本書「はじめに」
この本は「宝塚をご覧になってみませんか」と、いろんな人に声をかけていく、そんな日々の記録の本です。
私が宝塚に出会ったのは、本当に偶然の流れでした。不意に、自分の部屋に開けたことのない窓を見つけて、そこからはじめて見た景色がとても、とても綺麗だった。私にとっての宝塚との出会いは、そんな鮮やかでいて、ささやかさもあるものでした。窓の向こうに、そのときにしか出会えない季節の花が咲いていて。今、ここではじめて窓を開けたから、出会えたきらめきなのだと反射的にわかった。
大きな出会いだったけれど、そのきっかけはささやかで、儚い。もしかしたら今も宝塚のことを気づかずにいたかもしれない私の人生が、この体のすぐそばに流れている感じもします。そして、そんなふうに思うからこそ、自分の指が手繰り寄せた巡り合わせが、きらきら瞬いて見えるのです。自分がその瞬間を生きて、いくつもの偶然の中を泳いで、日々、無数の光に出会ってること。生きることそのものが、夢を見るみたいなことだって思います。
私のお誘いもそんな、ささやかなものとして、宛先の方々に届いたなら素敵だと思いました。舞台には無数の光があって、私はその世界がとても好きです。知らない窓をノックする、小さな鳥のように、そっと、だけど、その世界のきらめきで心をたくさん満たして、「ぜひよかったら」とお伝えしていく。そんなふうにできているでしょうか。できていたらいいな。
そうしていただいた、みなさんからのお返事が、私にとって宝物です。私のお誘いのお手紙と、いただいたお返事、それから私からのさらなるお返事が収録されています。出会いの鮮やかさとささやかさが、瞬く本になっているといいなと思います。
――最果タヒ
本書目次
はじめに
名久井直子(ブックデザイナー)と雪組「蒼穹の昴」
犬山紙子(コラムニスト)と星組「JAGUAR BEAT─ジャガービート─」
勝田文(漫画家)と雪組「BONNIE&CLYDE」
吉澤嘉代子(シンガーソングライター)と花組「うたかたの恋/ENCHANTEMENT─華麗なる香水─」
末次由紀(漫画家)と宙組「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」
綿矢りさ(作家)と雪組「Lilacの夢路─ドロイゼン家の誇り─/ジュエル・ド・パリ!!─パリの宝石たち─」
岡崎琢磨(作家)と宙組「大逆転裁判─新・蘇る真実─」
はるな檸檬(漫画家)と雪組「双曲線上のカルテ」
ヒグチユウコ(画家)と星組「RRR×TAKA”R”AZUKA~√Bheem~/VIOLETOPIA」
朝吹真理子(作家)と月組「Grande TAKARAZUKA 110!」
特別篇 穂村弘(歌人)と月組「Deep Sea─海神たちのカルナバル─」
あとがき
著者紹介
最果タヒ さいはて・たひ
詩人。中原中也賞・萩原朔太郎賞などを受賞。主な詩集は『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『落雷はすべてキス』。詩集の他に小説、エッセイ、絵本など著書多数。近刊に『恋できみが死なない理由』『ファンになる。きみへの愛にリボンをつける。』『推してる、より、愛してる。』など。
■書誌情報
『ときには恋への招待状 詩人からさまざまな方へ、宝塚公演へのおさそいの記録。』
著者:最果タヒ 他
価格:1,540円(税込)
発売日:2026年1月5日
出版社:河出書房新社






















