「高すぎる!」ポケモンハッピーセットの狂騒 カードは高額転売・即完も……レアでもないのになぜ欲しい?

ポケモンハッピーセットの狂騒

 マクドナルドは11日、「ポケットモンスター(以下、ポケモン)」とコラボしたハッピーセットが、玩具やカードの転売目的で購入する人が続出したり、食品が廃棄される事態を招くなど、大混乱を招いたことを謝罪した。

 ポケモンとコラボした玩具がつくハッピーセットは、8日から発売された。翌日からは玩具だけでなく、人気のポケモンカードが付属するとあって、多くの客が店舗に押し寄せた。買い占めが発生しただけでなく、食品が袋に入ったまま店舗外などに廃棄されている写真がSNSに投稿され、瞬く間に社会問題化した。

 おまけだけを抜き取り、食べ物が廃棄される光景は、かつての「仮面ライダーカード」や「ビックリマンチョコ」などでも見られたものだ。こうした事態は何度も批判が巻き起こってきたが、残念ながら今回はその反省が活かされたとは言い難い。食品を廃棄した転売屋だけでなく、マクドナルド側にも批判が向けられる形になった。

■カード数は十分にあるはずだが……

 さて、12日の朝日新聞の報道によれば、今回のポケモンカードは十分な数が用意されていたようだ。曰く、6種類で計300万枚弱だそうである。この枚数だけを見れば、決して“レアカード”というわけではない。にもかかわらず、1枚数千円で転売される事例が相次いだ。極めつけは、300パック未開封のポケモンカードはたった3分で72万円の取引があったほどだ。いったいなぜ、これほどまでの高額転売が横行したのだろうか。

 様々な要因があるが、そもそも、マクドナルドが近所にない地域に住んでいる人が多いことが挙げられる。東京などの都心に住んでいれば、マクドナルドは駅前などそこらじゅうにあるイメージだが、記者の妻の実家からは近所のマクドナルドへは車で90分ほどかかる。店がない地域の人は、買いに行くハードルはグッと上がるのだ。

 近年、車のガソリン代も高騰している。わざわざ朝早く起きてガソリン代と時間をかけて買いに行き、売り切れているリスクを考えたら、1000円程度上乗せしても転売屋から買ったほうが楽、という考えを持つ人は少なくない。これはほかのイベント限定のグッズなども同様である。地方の人たちにとっては、限定品を入手するハードルが高いのである。

 そして、海外での圧倒的な人気の高まりだ。ポケモンは言うまでもなく、世界的な人気コンテンツである。そして、ポケモンカードは世界中にコレクターがいて、レアカードであれば数千万円、数億円の値が付くほど人気が過熱している。そんな限定のカードとなれば日本だけでなく世界のファンも注目している。

 その需要の大きさに対し、6種類で計300万枚弱、という枚数では全然足りなかったのであろう。今思えば、最低でも1000万枚くらいは用意しておくべきであった。需要予測の読み違えが品薄感を招いたといえるのではないか。

 また、カードは全6種類で、1パックに2枚が封入されている仕様だ。2枚のうち1枚はピカチュウのカードで共通しているが、残り1枚は5種類がランダムに入っている。そのため、全種類揃えるためには最低でもハッピーセットを5点は注文する必要がある。実際、1人で5点注文する人が続出した。そのため、現場が混乱に陥ったといえる。

 コレクターやファンが全種類欲しがるのは当然のことであり、そのためなら限界まで買おうとしてしまうものである。せめて、ランダム封入ではなく、1点の注文で全種類揃うようにするなど、いくらでも対策はできたのではないだろうか。

 日本のアニメ・ゲームなどのコンテンツの人気は世界中に広がっている。今回の騒動は、ポケモンの凄まじい人気の高さを実感する出来事だっただけでなく、限定グッズの販売の仕方について考えさせられるきっかけにもなったといえる。本当に欲しいと思っている人に、公平に商品が行き渡る方法を、企業と消費者が一緒になって考える必要がありそうだ。

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