高校生二人の“普通”を描く『君と宇宙を歩くために』が共感を呼ぶワケ【2025.4.30 週間漫画ランキング】

4月30日付け週間漫画ランキング
1.名探偵コナン(107)/青山剛昌/小学館
2.ハニーレモンソーダ(28)/村田真優/集英社
3.お気楽領主の楽しい領地防衛(7)/青色まろ・赤池宗ほか/オーバーラップ
4.勇者に全部奪われた俺は勇者の母親とパーティを組みました!(5)/久遠まこと・石のやっさん/KADOKAWA
5.シャングリラ・フロンティア(22) ~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~/硬梨菜・不二涼介/講談社
6.名探偵コナン(107) 劇場版ティザーアクリルスタンド付き特装版/青山剛昌/小学館
7.不可抗力のI LOVE YOU(5)/ほしの瑞希/集英社
8.出禁のモグラ(9)/江口夏実/講談社
9.君と宇宙を歩くために(4)/泥ノ田犬彦/講談社
10.ウマ娘 シンデレラグレイ(19)/久住太陽・杉浦理史ほか/集英社
4月30日付けの日販調べ週間漫画ランキングからは、「マンガ大賞2024」大賞、「このマンガがすごい!!2025”オトコ編”」1位の2冠を果たした注目作品、泥ノ田犬彦による『君と宇宙を歩くために』(講談社)をピックアップ。
周りの”普通”が何よりも難しく色んなことを諦めグレてしまった小林大和と、手帳に起床から寝るまでの行動、泣きたくなった時のルールなどをびっしり書き込んだ”変わり者”の転校生・宇野啓介の二人の高校生の物語だ。
ひょんなことから宇野が手帳を持つ理由が語られる。宇野は「臨機応変な対応が苦手で、ダメという言葉で頭が真っ白になって宇宙に放り出されたようになる」と話し、「だからこの手帳は”テザー”(船外作業を行う宇宙飛行士の命綱)なんです」と続けた。小林はその話を聞いてから、新しいバイト先で意を決してわからないことを聞いたり、メモを取るといった行動を起こしていくように。宇野が現れたことで、小林の生活は少しずつ好転していき、宇野も小林という自身に理解がある友人を得られたことで明るい学校生活を送れるようになっていく。
タイトルから、『宇宙兄弟』や『プラネテス』といった本格宇宙漫画を連想されるがその実、”普通”にありふれた世界を宇宙空間に例えた、劣等感やジレンマを抱えた少年達の物語である。
多様性を謳いながらも「できない」に厳しい現代の中で、自らが「できる」ようになるために創意工夫を凝らしながら社会に順応しようと努力する姿は、読者のこれまでの苦労を認め、支えてくれるかのようだ。
「これほど理解してもらえる作品と出会えたのは初めて」や「この作品を読んだら肩の荷が降りたように軽くなった」など心動かされた読者の声も少なくない。誰しもが抱える自分への失望や焦燥感をキャラクターを通して表現し、前進する行動力をくれる本作は、茫洋たるこの宇宙に生きる我々にも勇気をくれる。
ランキング1位は、劇場版 『名探偵コナン 隻眼の残像』のビッグニュースが止まらない、青山剛昌による『名探偵コナン』107巻(小学館)。連載開始から約31年、全国の劇場で公開されたアニメ映画は32作(シリーズ28作、総集編映画3作、コラボ映画1作)という不朽の名作となった本作は、青山の4作目で「週刊少年サンデー」史上最長連載になる。本作を連載する前に描かれた『YAIBA』(全24巻)は、『真・侍伝 YAIBA』となって今年の4月5日からTVアニメで登場している。昨年公開された劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』にも『YAIBA』のキャラクターである沖田総司と鬼丸猛が登場しており、青山ファンは興奮した様子を見せていた。人気キャラクターの怪盗キッドも1987年から連載された『まじっく快斗』という作品の主人公だ。























