大ヒット『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』ーー『ガンダム』初心者&より深く知るための漫画3選

興行収入30億円以上の大ヒットを記録した先行劇場版に続いて、TVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、ジークアクス)も大きな話題を呼んでいる。長年の『ガンダム』ファンはもちろん、新規層も取り込む形で大きな盛り上がりを見せており、未曽有のブームが巻き起こりそうだ。
そこで今回は、『ガンダム』シリーズの入門編にオススメの漫画を紹介。『ジークアクス』をきっかけに「これからガンダムのことを知りたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてみてほしい。
■『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』

『ジークアクス』は初代『機動戦士ガンダム』(以下、ファースト)の設定を下敷きにしているため、何の知識もない人は、序盤の展開で戸惑いを覚えているのではないだろうか。そんな人にうってつけなのが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』だ。
同作は『ファースト』と基本的な設定を共有しており、宇宙世紀0079から物語が始まる。すなわち地球人口が増加した結果、大量の宇宙移民が生まれ、そこからジオン公国と地球連邦という2つの勢力による戦争が勃発。そのなかでスペースコロニーのサイド7に暮らす少年・アムロが戦乱に巻き込まれ、新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込んで戦う……といった冒頭の流れは共通している。物語を追っていくだけで、『ガンダム』ならではの用語について知識を得られるだろう。
しかも作者の安彦良和は、『ファースト』のキャラクターデザイン・作画監督を務めたレジェンド的な人物。そのため絵柄もアニメ版の雰囲気に近く、躍動感に満ちた物語世界を作り上げている。
さらに同作最大のオススメポイントは、シャア・アズナブルが登場すること。『ジークアクス』から入ったファンも「シャアってこんな人物だったんだ」と楽しみながら読み進められるので、入門用の作品にはぴったりではないだろうか。
ただし1点だけ注意しておくと、同作のストーリーは『ファースト』から改変されている部分も多い。とくにシャアについての描写がアニメより多くなっているのが特徴だ。特殊な出生環境をもつ彼が、どのようにして“赤い彗星”と呼ばれるジオン軍のエースパイロットにのし上がっていったのか……。その過去について、独自の解釈を交えながら詳細に描写している。
■『機動戦士ガンダム サンダーボルト』

2012年から現在まで連載が続いている『機動戦士ガンダム サンダーボルト』も、かなり評価が高い作品だ。累計発行部数は550万部を記録しており、2015年よりアニメ化も果たしている。
物語が始まるのは『ファースト』と同じく「一年戦争」の末期だが、アムロもシャアも出てこないのが大きな特徴。ジオン公国と地球連邦による戦いとその行く末を、まったく別の視点から捉え直している。
主人公は地球連邦軍のパイロット、イオ・フレミング。彼が重要拠点「サンダーボルト宙域」でジオン公国軍のスナイパー、ダリル・ローレンツと出会ったことにより、血みどろの運命に巻き込まれていく……。『ガンダム』の設定を下敷きとして、壮大で魅力的な物語を作り上げているのが同作の面白さだ。
作品を手掛けているのは、『MOONLIGHT MILE』などで知られるSF漫画の名手・太田垣康男。その画力と描写力は圧倒的で、迫力のあるアクションや、キャラクターたちの活き活きとした表情などはもちろん、宇宙空間を飛び交うメカの存在感をリアルかつフェティッシュに描き出している。
作品単体で見ても完成度の高いSF漫画となっているので、『ガンダム』を知らない人にこそ手に取ってみてほしい。