【漫画】寡黙な美少女はかなりのオタク？ 趣味で繋がる二人の青春『FREESIA』の切ないラスト
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
珊瑚：SNSで「自分だけに心を開いてくれていると思っていた友達が、実は全然異なる界隈では沢山の仲間がいて、どこか寂しくなった」という誰かの投稿を拝見し「なんだそれ、めっちゃいいやん……」と思い衝動的に本作を描きました。いま思えば、めちゃめちゃ人の思い出を盗んでいますね。
ーー主人公がそうだったように、詩音は非常に目を引くキャラクターでした。
珊瑚：ありがとうございます。詩音は私の友人がモデルであり、その人を連想して彼女を描きました。
友人はものすごく人見知りでおどおどしたオタクなのですが、口数が少なく、クールでかっこいい人みたいに周りから見られていて。そのギャップが面白かったので詩音を描くうえで参考にしました。
ただ実際には自分とその友人は琴と詩音のような関係ではありません（笑）。
ーー琴を描くなかで意識したことは？
珊瑚：詩音とはひたすら対照的な人物として描きました。いつの間にか周りと馴染んでいて、誰とでもある程度仲良くなれる人、たまにいるじゃないですか、生粋の陽キャみたいな……そんなイメージです。
ただ、そういう人ほど人一倍に周りを見ていて、気配り上手な一面があるなと思います。琴も一般的な陽キャのイメージというより、コミュニケーション能力がある人物として描くことを心がけました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは？
珊瑚：2人が机越しに話しているシーンです。仲良くなっていく過程として、2人だけの世界、2人にとってかけがえのないシーンにしたかったです。
ーーラストシーンは単純なハッピーエンドではなく、ある種の断絶であったかと思います。
珊瑚：人が誰かに抱えたモヤモヤや、やるせない気持ち。物語だとその悩みが解消されたり、誰かが素直になってくれるーー。でも現実では物語のように関係がスッキリすることの方が少なく、他の人と捉え方の齟齬（そご）が生まれたり、衝突してしまうことが多いと思います。
ただ、その勘違いや、やるせない気持ちを抱えたまま、みんな成長していく。「そんな寂しさも含めてあなたなんだよ、このどうにもならない気持ちを持ち続けることはつらいけれど、美しいし、どうか無くさないでほしい」という願望を込めてラストシーンを描きました。
またシンプルにハッピーエンド以外の方が「これからも物語が続いていく気がして嬉しいな」と個人的には思うので……（笑）。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
珊瑚：昔から漫画やアニメに触れていた生粋のオタクでした。ずっと絵を描いていたので、漫画を描きはじめたことに大きなきっかけはないかもしれません。強いていうなら「一次創作をするうえで、イラストより漫画の方が見てもらえるのでは」と考えたくらいですかね……。
ーーSNSに作品を投稿したり、即売会で作品を頒布しようと思ったきっかけは？
珊瑚：よくpixivで短編の漫画を見ていたので、自分も漫画を描いたらSNSに投稿しようと決めていました。また二次創作の即売会へ行くことも多く、即売会でも漫画を発表しようと思っていました。即売会の場の空気が好きなんです。
ーー今後の活動について教えてください。
珊瑚：読者に作品の意図がちゃんと伝わり、好きだなと思ってもらえるような漫画を描けるように心がけたいです。また、まずはこのお話の続きを描きたいと思っています。もっと漫画の絵も練習してパワーアップするので、ぜひ続きを楽しみにしてください。
