【漫画】ブラック職場から帰宅、そこにいたのは……? 大事にしていたぬいぐるみとの交流を描く漫画『モフ太』

――改めて本作の制作経緯について教えてください。
中恭:昔から漫画家になりたかったんです。運良く学生時代にデビューできたのですが、その後はなかなかうまくいかず漫画を描かなくなっていました。
就職後、会社員生活の中で漫画のオンライン講座を受講したことをきっかけに再び漫画を再び描き始め、そこでの卒業制作として描いたのが『モフ太』だったんです。
――なぜXに漫画を上げたのでしょう?
中恭:受講したオンライン講座が「SNSに積極的に漫画を上げよう」といった方針で、今までと違ったやり方に興味が湧き受講を決め、卒業制作もXに上げたという流れになります。
――「モフ太」という名前がシンプルかつコミカルで、それでいてストーリーのシリアスさと対照的です。この名前の由来は?
中恭:ふわふわ/モフモフなことがすぐにわかる名前にしたく、仮で「モフ太」という名前を付けたんです。その後も他にいい名前がないか考えたのですが、だんだんとモフ太が一番しっくりくるようになり……そのままでいくことになりました。単純ですみません(笑)。
――本作のストーリーにはご自身の実体験も含まれているのでしょうか? なければ、どのように考えたか教えてください。
中恭:残念ながら、ぬいぐるみが動き出したという実体験はありません……。ただ、主人公がぬいぐるみに救われて生きてきたという点は実体験と重なっています。私もぬいぐるみとお話しして、遊んで、助けられて、共に生きてきました。
この子たちが実際に動いたらいいのにな」という幼い頃からの夢を漫画の中で叶えようと思いました。我が家のぬいぐるみたちも、作品に出てくるような感情を持ってくれていたらいいなと思います。
――ご自身にも大切なぬいぐるみがあるとか。
中恭:モフ太のモデルとなったのは、幼稚園の頃にデパートのぬいぐるみ売場で一目惚れした大きい犬のぬいぐるみ「るるちゃん」と、大人になってから出会ったポケモンのヌオーのふわふわ抱きぬいぐるみ「ぬーちゃん」です。
単行本『モフ太〜人生に疲れた会社員がモフモフのぬいぐるみに救われる話〜』の巻末にその子たちの裏話も描きましたので、よければそちらもご覧ください。
――その単行本も発売となりましたが、こちらの手応えや反響はいかがでしょう?
中恭:日常編をどこまで入れるか、描き下ろしをどうするかなど、たくさん悩んで今できる最大限のいいものを作ったつもりでしたが、反響がどうなるか発売まで不安もありました。
結果的にたくさんの方に読んでもらえたのは本当に嬉しい限りです。「毎日寝る前に読んでいる」、「相棒のぬいぐるみと一緒に読んでいる」、「宝物にします」など嬉しい言葉をたくさんいただいて、今までの人生のご褒美をもらっているような気分。もっと多くの人に届けられるよう、これからも頑張ります。
――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか?
中恭:小さい頃は主に少女漫画を読んでおり、徐々に色々なジャンルを読むようになりました。中学生の頃に『バクマン。』を読んで実際に原稿用紙に漫画を描いて投稿を始めるといった、典型的(?)な漫画家志望でしたね。
あと父親の好みで家にあった藤子・F・不二雄先生の『ドラえもん』、『パーマン』、『エスパー魔美』なども小さい頃から繰り返し読んでおり、少し不思議ワールドが好きなのはその影響が大きいと思います。
――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。
中恭:読んでくれた人が面白い、読んで良かったと思える作品を、自分自身も楽しみながら描き続けられる作家になりたいです。
求められるものと作りたい作品のバランスをとって、楽しく作家活動を続けていけたらなと思います。