『スイミー』で知られる世界的絵本作家の意外な人生とは?『だれも知らないレオ・レオーニ』がロングセラーで重版決定

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 株式会社玄光社は、2020年8月31日に発売された『だれも知らないレオ・レオーニ』の重版が決定したことを発表した。本書は、『あおくんときいろちゃん』『スイミー』『フレデリック』などの名作絵本を手がけたレオ・レオーニの数奇な人生をひもとき、彼が模索した「アーティスト」像に迫る一冊である。

49歳で絵本制作を始めたレオ・レオーニ。決して早いとはいえない年齢からのキャリアだったが、その背景には波乱に満ちた人生と多彩な経験があった。

 レオーニはユダヤ系の父とオランダ人の母との間に生まれ、叔父たちのコレクションによりクレーやシャガールなどの芸術作品に囲まれて育った。大学では経済学を学ぶものの、アートへの情熱を捨てきれず、映画やグラフィックデザインの分野で表現を模索。ファシズムの台頭により亡命を余儀なくされ、アメリカへと渡った。

 アメリカでは雑誌『Fortune』やオリヴェッティ、MoMA、ユネスコといった一流の企業・団体と仕事をし、グラフィックデザイナー・アートディレクターとして成功を収めた。さらに、アレクサンダー・カルダーや親友ベン・シャーンから影響を受け、絵画や彫刻にも取り組んでいる。彼にとって初めての絵本『あおくんときいろちゃん』は偶然から生まれた作品だったが、それ以降、絵本の制作に真摯に向き合い続けた。

 また、レオーニは単なる絵本作家ではなく、戦争や人種・性別による差別に反対し、平和を訴え、政治的な活動にも積極的に関与した人物でもあった。本書には、その思想を裏付けるような近年の調査ではじめて発見された風刺画なども収録されており、彼が生涯をかけて模索した「アーティスト」としての姿を知る手がかりとなる。

 本書を通じて、レオ・レオーニの知られざる魅力と、彼が追求した芸術の世界に触れてみてはいかがだろうか。

書籍情報

『だれも知らないレオ・レオーニ』

著者:森泉文美・松岡希代子
ジャンル:画集・作品集
発売元:株式会社玄光社
出版年月日:2020年8月31日
書店発売日:2020年8月31日
判型・ページ数:A5・224ページ
定価:2,750円(税込)

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