【漫画】アニメのタイトルが気になりすぎて、制作する会社に就職したら……SNS漫画「『カニのカプチーノ』を求めて」に感動

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
ブルーザキヤマ:本作はこれまで制作した8本の短編作品から、長編作品として描くために1本を選び、創作した作品です。当初はXでどの作品のつづきが読みたいかアンケートをとったのですが、票がばらけたため、自分が最も描きたかった『カニのカプチーノ』を選びました。
作中ではマニアな主人公が登場しますが、自分自身もマニアなので、この話なら最後まで描けそうだなという自信もありました。
ーーはじめてグッズを購入した際の心情や、自室にある推しのコーナーなど、推し活の解像度がとても高かったです。
ブルーザキヤマ:ありがとうございます。私がのめり込んだゲームの中に、主人公のお母さんという設定だけが判明しているものの、その姿が最後まで登場しないキャラクターがいました。
そのキャラのことを知りたいと思い、発売当時のグッズをオークションサイトで購入したり、絶版になった攻略本を探したりなど、収集活動をしていました。キャラデザインを担当していた人のSNSを追っていたりなど、20年近くストーカーをしているような感じです(笑)
そんな私と同じような経験をした人が他にもいるのではないかと考えながら、主人公の様子を描いていました。
ーー長編作品を描こうと思った経緯は?
ブルーザキヤマ:受講している漫画のオンラインスクール「コルクマンガ専科」の課題で、1週間に4ページ以上の漫画を描くといったものがありました。その課題は8週間に渡って描きつづけるものであり、週刊連載をしている気分で毎週キリの良いところまで描きながら、本作を完成させました。
ーー以前、本作の元となった短編漫画についてお聞きしましたが(参考:【漫画】アニメのタイトル「カニのカプチーノ」ってどんな意味? どうしても知りたいファンの驚きの行動描くSNS漫画)、本作では新たに海野さんというキャラクターが物語に登場しました。
ブルーザキヤマ:主人公だけでは長編の物語を進めることはむずかしいと思い、作中作『カニのカプチーノ』に関する人物・海野さんを登場させました。
会社の喫煙所にいることが多かったり、いつもコーヒーを飲んでいるおじさんに心当たりのある人は多いかと思います。「こういうおじさんいるよね」と思ってもらえるように意識しながら海野さんを描きました。
ーー『カニのカプチーノ』の舞台や、山下監督の住む町として田舎を選んだ理由は?
ブルーザキヤマ:主人公は都会で勉強漬けの日々を過ごしていたので、彼を解放させてあげたいと思ったからです。彼には田舎に行ってほしいという願いを込めて、田舎の町を選びました。
こどもの頃、小高い山のちかくにある公園で遊んでいたとき、水辺にあった石を裏返したらサワガニがいてとても驚きました。カニは海にいるものだと思っていたので、先入観を壊されて……。そのエピソードを主人公の視野が広がることと紐づけながら、監督に会うまでの田舎道を描きました。
ーー本作では山下監督に直接会うことは叶わず、その姿も描かれることはありませんでした。
ブルーザキヤマ:作者の姿を見た瞬間に夢がなくなってしまう、といった話をよく聞くので、その人が作ったものとか残したものだけを見るだけで満足というクライマックスを描きました。たとえば漫画の原画展でも作者本人に会えずとも、その人が使っていた道具が展示されているだけでも嬉しいと感じることはあると思います。
ーー本作、そして作中作『カニのカプチーノ』のテーマとして「なんでもいい、自由に楽しく想像してみてーー」が当てはまるかと思います。
ブルーザキヤマ:そうですね。主人公は答えのあるものを解くことは得意ですが、自由に描くことのできる絵は苦手でした。ただ、たとえ絵を描くことが苦手でもアニメの制作会社に入社できたり、山下監督に近づけたりなど、主人公の成長を通じて先入観から解き放たれてほしいと思いながら、本作を描きました。
ーー60ページ以上ある漫画を描いてみた感想は?
ブルーザキヤマ:とにかく締め切りを守るためにクオリティが低くてもいいから描こうと思いながら創作しました。漫画をお仕事にしたいと思いつつ、それならば絶対に締め切りは守らなければいけませんし……。
本作が完成するまでの数ヶ月はずっと漫画のことばかり考えており、友人と出かけたときも漫画について相談しながら描きつづけていました。そんななか完成した本作は反響も大きく、みんなに読んでもらえる作品ができあがり、よかったです。






















