【漫画】ロケ弁で撮影現場の士気を高めろ! 異色のグルメ漫画『ロケ弁の女王』業界も認めるリアルな描写

【漫画】ロケ弁で撮影現場の士気を高めろ!

――Xに上げてみた手応えはいかがでしょう?

つのだふむ(以下、つのだ):Xに投稿してみて、ロケ弁の魅力だけでなく仕事への姿勢などの人間関係に反応してもらえたのが嬉しかったですね。読んだ人にとって自分と重ねたり、感想が湧く作品を作りたいと思っているので。

サエグサケイ(以下、サエグサ):「読んだらお腹が空いた」や「ロケ弁が食べたくなった」というコメントが多く、ロケ弁の魅力が伝わっていると実感できました。

――原作・のやまあきさんも含めたチームで制作を進めた理由は?

つのだふむ:のやまさんはテレビ業界の経験が豊富で、現場のリアルな空気感を知り尽くしている方なんですよ。そこがこの作品の強みだと思います。僕自身も映像制作会社にいたので「あ、これわかる!」と共感できる部分が本当に多くて。

サエグサ:のやまさんの原作って、本当に細かくて、現場の空気感やロケ弁の持つ意味がぎっしり詰まってるんですよね。それをどうビジュアルに落とし込むかを話し合いました。

つのだ:のやまさんの脚本を読み解きながらネームを描いていくなかで「イメージ通り!」や「思ってたのと違うけど面白い!」と言ってもらえた時は、素直に嬉しかったです。

サエグサ:のやまさんが描く恋愛のやりとりは共感できる部分が多い。「あ、こういう気持ちわかる!」と思いながら、どう表現したら読者の心に響くか、試行錯誤しながら描いていました。探り探りでしたが、少しずつ理想に近づけたんじゃないかな。

つのだ:のやまさんの知識やサエグサさんの描く絵の力と、カラーリングチームのカラーが加わることで視点が増え、作品の厚みがグッと増したなと感じています。やっぱりチームで作るのは面白い。

――具体的に原作をどう演出し、作画に落とし込んでいるのでしょう。

つのだ:サエグサさんと一緒にシーンの感情の流れや、ロケ弁が持つストーリーをどう見せるか、細かいところまで話し合い、作画。さらにカラーリングチームがお弁当の魅力、現場の空気感を立ち上げるような色彩を付けてくれます。

原作・のやまさんとは“絵で会話する”という感じなんです。僕がネームを描くと「もっとこういうイメージ」と具体的に伝えてもらったり、理想のイメージをすり合わせるやり取りが本作ならではの面白さだなと。

サエグサ:のやまさんには作画についても、細かい表情まで感想をもらって書き直したりしました。現場で一番お弁当に触れてきた、のやまさんだからこそのこだわりもあり、絵で表現できるようにチームで試行錯誤していきました。

――つのださんはTBS番組「週刊さんまとマツコ」のロケ弁特集の回に出演していました。本作には自身のリサーチも反映されています?

つのだ:そもそも、のやまさんの現場経験により選ばれたロケ弁が本当に美味しくて魅力的なんですよ。それを伝えるのに僕自身は、お弁当がどう作られてるのかを実際に食べたり、お店に取材したりして細かくリサーチしました。

――全編カラーの縦読み漫画になっていますが、この意図は?

サエグサ:スマホで読みやすい縦読み形式と全編カラーは、お弁当の魅力を最大限に引き出すのにピッタリ。そしてカラーリングチームが実際にお弁当を食べて、その美味しさをどう表現するか細かい色味や照り具合までこだわってくれました。完成した時は「うわ!これ絶対美味しいやつ!」と思える仕上がりで嬉しかったです。

――なぜ人は食べ物でここまで士気が変わるのだと思いますか。

つのだ:食べることって、単なるエネルギー補給じゃなくて、気持ちの切り替えスイッチみたいなものだと思うんですよ。美味しいものを食べると「よし、頑張るか!」と気持ちが前向きになったり、疲れた心がほぐれたりする。現場でも、ロケ弁ひとつで空気が変わるのを何度も実感してきたので、食の持つパワーはすごいなと改めて思います。

サエグサ:お弁当を食べて幸せそうな主人公・米子の顔を描きながら、「ああ、やっぱり食べることって人を元気にするんだ」と思いました。美味しいものがチームの力を上げたり、気持ちをひとつにしたりするんだなと。

 一緒に美味しいものを食べると、自然と笑顔になれるし、ちょっとしたことで気持ちが上向くことってありますよね。ロケ弁が変わるだけで「今日はなんかイケそう!」という雰囲気になる。それがすごく大事だなと思います。

――改めて振り返ってみて、『ロケ弁の女王』はおふたりにとってどんな作品でしたか。

つのだ:普段の生活でも「食を楽しむことの大切さ」を改めて考えさせてくれた作品ですね。忙しいと、つい適当に済ませがちだけど、ご飯を味わうことは「人生を味わえているか?」ということにかなり近い。「何をいかに食べるか」に興味を持たず、蔑ろにしていると他の全てが雑になっていく気がします。

 米子がロケ弁に全力を注ぐ姿を描きながら「食を大切にすることが、仕事や人とのつながりにも影響するんだな」としみじみ感じました。読者の皆さんにも、この作品を通して「食べる」ことをもっと楽しんでもらえたら嬉しいです。

サエグサ:私にとっては、食べ物の美味しさを最大限に伝えることに挑戦した作品。そして何より、読んでくださった方が「お腹が空いた!」と言ってくれるのが本当に嬉しいです(笑)。

 あとは米子の恋愛のやり取りを描くのも楽しかったですね。仕事と恋の間で揺れる気持ちなどに共感しながら描いていたので、その部分も楽しんでもらえたら。

©︎のやまあき・つのだふむ・サエグサケイ/コルク

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■つのだふむ
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・最新作「運命のリフォーカス」https://www.amazon.co.jp/dp/B0CXQ5C76F

■サエグサケイ
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・note:https://note.saegusakei.com
・最新作「フウフヤメマスカ?」 https://mechacomic.jp/books/201204
・最新作『バイバイおかえり、ぼくの恋人』ルチルにて連載 https://rutile-official.jp/

◉制作スタッフ
原作・のやまあき、演出(ネーム)・つのだふむ(@tsunoda_fumm)、作画・サエグサケイ(@saegusakei)

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