『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』はパンフレットも要注目! ザクのデザインにも新たなコンセプト

『GQuuuuuuX』はパンフレットも要注目!

 現在公開中の話題作、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』。ギョッとするような本編の内容もさることながら、パンフレットの内容も要注目である。

 現在、映画館では通常盤と豪華版の2冊が販売されている『GQuuuuuuuX』のパンフレット。通常盤が1200円、豪華版は2冊セットで3000円という価格設定であり、一見すると「豪華版、高いな……?」という印象もあるが、本編の内容が気に入ったのなら豪華版の購入をおすすめしたい。本作のパンフレットは設定資料集的な趣もある内容だが、通常盤と豪華版の二冊を並べて読むことで情報量がグッと増えるのだ。

 CGを駆使して描かれていた『GQuuuuuuX』の戦闘シーン。コロニー内と宇宙空間での戦闘ではモビルスーツ同士の位置関係が目まぐるしく入れ替わり、映像を一旦停止でもしない限り機体のディテールはよくわからない。もちろん映画館で一旦停止なんてできるわけがないので、映像を見ながら「あれ? 今ビグザムにセンチネル版っぽいタンクが付いてなかったか?」とか思いながら映画館を後にすることになった。そんな目まぐるしい戦闘シーンでもガンダムとザクの区別はしっかりつくので、やはりあの2機の見た目のアイコン性・キャラクター性はすごいな……とも思わされたのだけど。

 そんなよくわからなかったモビルスーツたちのディテールが、パンフレットではみっちり確認できる。通常盤ではカラーで、豪華版の追加冊子では部分的に着色された線画でモビルスーツや軍艦、キャラクターの姿を確認できるので、「そもそもこのアニメに出てきたメカは、どんな形をしているのか」を確認したい人には豪華版の購入をおすすめしたい。豪華版に掲載されている線画にはメカニカル総作画監督を務めた金 世俊氏によってブルーグレーの影が入れられており、複雑な面構成なども把握しやすいようになっている。

 この設定資料部分を一読して感じるのが、まず本作のモビルスーツは「宇宙機」という点を強く打ち出してデザインされているということだ。宇宙には空気がない。空気がないということは「燃焼」という現象が起きないということであり、圧縮した高温の空気に燃料を放り込み、その燃焼によって発生した高圧の排気を動力とするジェットエンジンはそのままでは使えない。ということで、宇宙を飛ぶロケットなどは各種方式に合わせた推進剤(プロペラント)をタンクに詰めて持っていき、それを燃やすことで宇宙空間での移動を可能にしている。

 いわゆる「リアルロボット」の文脈において、「このロボットは宇宙での移動についても考慮していますよ」という記号として機能していたのが、プロペラントを充填したタンクである。この「リアルロボットにおけるプロペラントタンク」は大抵長細い筒状をしており、それがロボットが背負っているランドセルの排気ノズルの近くにくっついていると、「ああ、このロボットには推進剤がついてるから、宇宙で動くんだな」とマニアが納得する。ただこのプロペラントタンク、ロボットのデザインに登場したころは「おお! リアル!」と驚かされるものがあったが、何度も擦られた結果いささか様式的な表現になっているところがあったように思う。

 しかし『GQuuuuuuX』のパンフレットを読むことによって、この作品のモビルスーツはプロペラントタンクと排気ノズルの配置に関する「お約束」を解体しようとしていることがわかる。具体的には、山下いくと氏曰く「最もスタンダードなモビルスーツ」として再デザインされた『GQuuuuuuX』版ザクに、その試みが見られる。このザクは太もも部分にふたつの球形タンク、そして太ももの背中側に排気ノズルを搭載。タンクの周囲は太いフレームで囲うようにガードされており、従来のデザインでは排気ノズルが取り付けられがちだった背中側には推進用の装備は搭載されていないように見える。

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