注目俳優・柿澤勇人、舞台へのストイックな思い 1st写真集『untitled』と演者として心がけていること
■話題書、柿澤勇人1st写真集『untitled』
今年、第31回読売演劇大賞優秀男優賞、第49回菊田一夫演劇賞を受賞するなど舞台での活躍にとどまらず、多方面で注目を集める俳優・柿澤勇人が1st写真集『untitled』(宝島社)を刊行した。
本作では、2023年夏に上演されたミュージカル『スクールオブロック』から、24年の舞台『オデッサ』『ハムレット』まで、過酷な主演作に挑んだ怒涛の1年間の舞台裏に密着。稽古中や本番前後の貴重なカットが収録され、鍛え抜かれた肉体美からチャーミングなプライベートの姿までを見せている。全128ページにわたり柿澤の魅力がたっぷり詰まった一冊に仕上がった。そんな写真集を刊行した柿澤に仕事への思いについての話を聞いた。(篠原諄也)
ーー写真集を刊行する今の思いを教えてください。
柿澤:「自分が写真集なんてお恥ずかしい」という思いもありました。写真集というと、カメラマンと一対一でキメキメの写真を撮るようなイメージがあって。でも今回はそういったカットもありますが、主にこの1年間に出演した舞台3作品のドキュメントになっています。舞台上の自分とは違った、舞台裏での自然な表情などを撮ってもらいました。
出来上がりを見た時に「こんな表情をしていたんだ」と驚くこともありましたね。本当に1枚1枚にエピソードがあります。しかも3作品とも全然違う顔をしている。いろんな表情の写真を楽しんでいただけると思います。
ーーご自身の舞台裏での表情を見て、どのように感じましたか?
柿澤:舞台が終わった直後の表情が一番ホッとしているんだなと思いましたね。袖に入って楽屋に向かう道ではいつも「今日も一日が無事に終わった!」という感覚なんです。本番中は非日常なので、神経が張り詰めている。終わった後はピンと張り詰めたものが一気に緩んだ時の表情をしていますね。
舞台上演中の2、3時間の間、本当に何が起こるかわかりません。役者の皆さん、そして僕自身も、体調は毎日違います。もしかしたら倒れるかもしれない。怪我をするかもしれない。そういうネガティブなことばかり考えてしまいますし、実際そういうことが起きたりもしますからね。だから本番が無事に終わった時は本当にホッとするんですよ。写真の顔にはそれが如実に表れています(笑)。