『HUNTER×HUNTER』実は「キメラアント編」の黒幕? 数十年かけたビヨンド=ネテロの壮大な計画とは

すべては暗黒大陸のため?  ビヨンドの目的は……

  なぜビヨンドが「キメラアント編」に関与していたと考えられるのか。それは父であるネテロ会長との関係が関わってくる。

  というのもビヨンドはかつて暗黒大陸を訪れて生還した過去があり、その後も再調査に向かおうとしていた。しかし父であるネテロ会長から“自分が死ぬまでは許可しない”という枷を与えられたため、雌伏の時を過ごしていたという。そこでネテロ会長を始末して枷を外すため、キメラアントの騒動を引き起こしたのかもしれない。

  ほかにもビヨンドの壮大な計画が垣間見えるような描写は多い。たとえば単行本32巻では、カキン帝国で30年ほど前に「歴史上最も静かな革命」と呼ばれる真林館事件という出来事が起こり、帝国社会主義から議会民主主義へと政治体制が変わったことが明かされていた。このとき暗黒大陸への不可侵条約を更新していなかったことが、後にカキン帝国が暗黒大陸挑戦を許可された理由の1つとなっている。

  そしてその一方、ビヨンドがカキン軍に自分の子どもを潜り込ませる計画を始動させたのも、ちょうど30年前ごろだ。この符号は単なる偶然とは考えにくい気もする。もし真林館事件にもビヨンドが関与していたとすれば、その計画のスケールの大きさは想像をはるかに超えるものだといえそうだ。

  また、「キメラアント編」の序盤では、キメラアントの女王が自身の内に“人間の血”が薄く流れているのではないかと内省する場面があった。つまり女王の先祖が人間と交配している可能性があるのだが、元々キメラアントは暗黒大陸からやってきたものとされている。暗黒大陸の調査団だった過去があるビヨンドなら、そのあたりの事情を知っている可能性があるかもしれない。

  一体どこまでがビヨンドの計画の範疇なのか。そしてカキン帝国の王位継承戦に介入することで、何を狙っているのか。ますます謎は深まるばかりだが、これこそ『HUNTER×HUNTER』の真骨頂と言えるだろう。

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