【ライトノベル最新動向】『死亡遊戯で飯を食う。』「とある」「魔法科」「狼と香辛料」新刊も 9月の注目作を一挙紹介

【ライトノベル最新動向】9月の注目作紹介

 新作では、9月20日発売の逆巻蝸牛『女王陛下に婿入りしたカラス』(ファンタジア文庫)が軍事ではなく内政によって国を強くしていく主人公の活躍ぶりを楽しめる作品。家政学を専攻して敵対していた国を分析したリポートを書いたウイルに、その敵対国の女王が求婚を持ちかけてきた。弱点を知る者に改革を任せたいという意向だが、女王以外から敵と見なされる状況の中、ウイルは着々と改革を進めていく。知識は武器になると知ろう。

 野中春樹による第18回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作『嫉妬探偵の蛇谷さん』(ガガガ文庫)は、主人公の蛇谷カンナが園芸部に所属していて、美しい花よりも雑草を愛する性格で、口を開けば毒舌という癖ありまくりなキャラクター。「嫉妬」を行動原理にしていて、その感情を元に謎を解き明かすというから、どのような推理が繰り出されるのかが今から見物だ。9月18日発売。

 ノベルズでは、9月10日発売のあわむら赤光『宰相の器を持つ小役人の、辺境のんびりスローライフ ~出世できず左遷されたはずが、なぜか周りから頼られまくっています~』(DREノベルス)が、まったりスローライフ系で読んで癒やしを得られそう。最年少で超難関試験を突破し官僚となりながらコネだと思われ地方に左遷されたゼン。本人は大喜びで田舎暮らしを楽しんでいたが、才能は隠せず皇女を助け田舎の役場の仕事を一瞬で片付けと大活躍する。誰からも求められる心地よさを味わえそうだ。

 BPUG『逃亡賢者(候補)のぶらり旅 ~召喚されましたが、逃げ出して安寧の地探しを楽しみます~』(カドカワBOOKS)は、異世界に召喚されたものの、召喚者を不審に思ってその場から隠密スキルを使って逃げ出した2人組が、どうにかして王都を出て安住の地を目指すという、こちらもバトルから離れたストーリーが特徴。"異世界召喚あるある”を利用して生き延びようとする展開が、異世界召喚ものをもっと読んでおくのが吉と思わせる。9月10日発売。

 西尾維新の「物語シリーズ」最新巻も。9月11日発売の『短物語』(講談社BOX)には初期33編の6つの書き下ろし新作を加えた39編を収録した短々編集。あらゆるキャラクターが登場しそうでファンなら嬉しい1冊だ。

 ライト文芸系では、『老舗酒造のまかないさん』シリーズの谷崎泉による9月13日発売の新作『猫沢文具店の借りぐらし』(富士見L文庫)が、ふんわりと心温まる物語を読ませてくれそう。元編集者の猫沢二胡は夫を失い仕事もなくして、実家の文具店で店番をしながら暮らしていた。そこに大学生の甥が訪ねてきて、すこし変わった同居が始まるという展開の中、沈み欠けていた二胡の気持ちが上向いていく。元気をもらえそうな作品だ。

 我鳥彩子『駒月小毬は困ってる 転生者問題対策室《天紋堂》の残業』(集英社オレンジ文庫)は、親から遠ざけられ受験にも就活にも失敗続きの駒月小毬の不幸の原因が異世界人のせいだと判明。アルバイトをしている和菓子屋の店主が異世界人対策をしていることも分かり、その手伝いを始めるという異色の展開で楽しませてくれそう。9月19日発売。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる